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四百二十六話
「ん?あそこ誰かいない?」
アリエが指をさす。
「いや、ゴールデンウィークなんだし俺たち以外のやつだっているだろ」
「そうじゃなくて、あそこお茶会?みたいなんだけど知った顔っぽいのよね」
「お茶会?」
お茶会と聞けば目を引かれる、俺もそこを確認すると和服の人たちばかりだ、見たところ茶道のお茶会か。お茶会と言えば優雅な響きだ、上流階級だけのおしゃれな遊びに見える。
その人たちの中に黒髪のおしとやかな女性と濃い茶髪の人たちが気になった。
チラリと黒髪の人の顔が見えた。
「だめだ、距離があって見えない」
「でも誰だか気になるわ」
「えー、あんなのいいからお昼食べようよー」
みかんはお構いなしに騒いでいる。だが俺とアリエはフラフラとベンチから離れていく。
距離をある程度詰めたところで黒髪の人の顔が見えた。
「清さん!?」
「なんであなたがここに?!」
 




