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三百七十四話 アリエのメイド姿を見に来た⑤
「多分そうじゃない?そうでなくても、同じバイト先の子にセクハラとかいい気分じゃないと思うけど」
「普通そうだよねー」
理沙に美希が同意する。
「ふう」
梨子は美佳達から距離を置くとため息をつく。エキセントリックな連中と付き合うのは体力がいるものである。
「ありがとう梨子、あんたのおかげで助かったわ」
アリエが近づいて感謝する。アリエ自身あの三人と関わるのは疲れるのだ。
「お礼なんていらないわ。その代わり、今度デートしてよね」
梨子はウインクして言う。二人は厨房スペースに進んで行く。
「デートて、葉月じゃないんだから行かないわよ」
アリエはきっぱり断る。
「それは男の人との話でしょ?女の子同士でデートっていうのもいいんじゃない?」
「女の子同士、悪く………ないわね」
梨子は美佳達とは違うエキセントリックな瞳で攻める。これにはアリエも納得するのだった。
「じゃあ、あの子達の注文ブレンドだから作っちゃうね」
梨子はブレンドの豆を轢いた粉末とコーヒーを煎れるセットを取り出す。




