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三百五十九話 葉月とみかんとの一泊の翌日
「ねえねえ、昨日は彼氏さんのとこに泊まったんだよ?どうだった?ねえ、どうだったの?」
メイド喫茶スターにて梨子がアリエに聞く。恋人の家に一泊、それが友人のこととなると興奮しないはずなかった。
「まあ、悪くはなかったわね」
アリエは神妙な顔で答えた。
「なんか盛り上がらないね。ここはもっとうわーて盛り上がるとこじゃないの?」
梨子はアリエの返答が意外だった。
「みかんがいたのよ」
アリエが疲れた様子で答えた。
「え、年頃の兄妹が一緒に住んでるの?」
梨子はありえないという声で言った。
「同じ学校に通ってるからその方が家賃が浮くのよ」
「あー、なるほど分かるー」
だがアリエの返答にうんうんと頷いた。
「じゃあ昨日は二人きりじゃなかったんだ?」
「そうなのよ、おかげであまりいい気分じゃなかったわ。それに…………」
アリエは言葉を噤んだ。
「なに?まだなにかあるの?」
恋人の妹がいるだけでも邪魔だというのにまだ何かあったのかと梨子は気になる。




