三百五十四話 入浴後の葉月とアリエ③
「もー!お兄ちゃんそれは言わないでよー!もう!アリエにだけは知られたくなかったのにもー!」
みかんは牛かと思うくらいモーモー怒り始めた。
「でも、お前が変なこと言うからアリエが気にしたんだろ?」
結果はどうあれ原因はみかん自身にあるはずだ。なのに俺が責められるのはいかがなものか。
「それとこれは関係ないでしょ!」
「関係ないねえ。だからと言って…………黙ってたら許すか?」
俺は渋い顔でアリエに言った。妹が実は兄に異性として好意を持っているという事実は恋人にとってもセンセーショナルだろう。こういうのは下手に話すより黙ってる方がたちが悪そうだ。
「許さないわよ。みかんが葉月を好きなんてそれだけでもう許さないけど、それを黙って葉月の気を引こうなんてもっと許さない」
アリエが真剣に言った。
「ごめんアリエ………」
みかんの顔が怒りから謝罪に変わる。
「でも葉月を好きって思い始めたのは最近なんでしょ、ならちょっと許す」
「ありがとう。でも、お兄ちゃんは渡さないから」
アリエとみかんは笑顔になった。
「守れるものなら………」
アリエがニヤリとする。
ん、俺の意志は?




