三百五十一話 アリエとの入浴④
「いやまあ、本人から聞いたわけじゃなくて推測だから事実てわけじゃないけどな」
俺は言葉を濁した。うむ、やはり口にすべきではなかったか。言っては遅し、覆水盆になんとやらだ。
「推測てなによ?」
おっと、食いついて来たか。推測であるため話しづらいがこれも身から出た錆だ、やむを得ん。
俺は以前みかんの風呂に入ろうとして断られたこと、その後間違いを起こすかもしれないと彼女が言ってきたことを話した。
「間違いって………身体を重ねるってこと?」
風呂で上がったみかんの体温がさらに上がったように見えた。今俺たちも裸なのだが身体を重ねることを想像するのはそれすら超える赤裸々なことだった。
「なにせ風呂の後だからな」
俺は念を押した。
「そのお風呂なんだけどいつの話なの」
アリエは疑うように言った。
「あいつがこのアパートにきて三、四日?」
「このアパートて高校生じゃない!なに考えてるのよ!シスコンにもほどがあるわよ!」
アリエは振り返って俺の肩を掴み前後に揺すった。
「いいじゃないか、大事な妹なんだから」
大事な妹と風呂に入って何が悪い。高校生になって断られたがそうでない限りずっと一緒に入ってやる。
「女って言わないだけ許してあげる」
アリエは不機嫌ながら言った。
「ありがとな。てお前、バスタオル取ったのかよ」
「あ………」
アリエも気づいて背中を向ける。話に夢中で気づかなかったが浴室に来た時と違って今のアリエは完全に裸だ。見ようと思えば胸くらいは見れそうだが見たら怒られそうだ。
流石に俺の家のバスタオルだからお湯に浸すことを躊躇ったようだ。
「別にいいわよ、ちょっとくらいなら………」
頬を染めるアリエに俺は脳天をやられた。プシュッと俺の頭から湯気が出て背中から倒れる。だめだ、視界がぼやける、意識が落ちる。
「ちょっと葉月!?しっかりして!葉月ー!」
アリエが俺を心配して肩から身体を揺する。やべえ、目の前にアリエのおっぱいが見える。欧米人由来の白く、でも風呂の温度で赤くなったそれは宝石箱のようだ。おっぱいそのものが箱なら宝石はでゅへへ、ニヤケ笑いが止まらないよ。




