351/594
三百五十話 アリエとの入浴③
「あんたと血が繋がってないとも言ってたんだけど、本当?」
俺はその言葉に目を丸くした。
「嘘だろ………冗談にもほどがあるだろ」
実の兄妹ではないというのは冗談にしては過ぎたものだ。特にアリエには言うべきではないだろう。何を考えて………いや、魂胆はすぐに思いつくがな。
「冗談じゃないわよ!ほんとにみかんはあんたと血が繋がってないって言ったの!」
アリエが声を荒らげた。
「そうじゃねえよ、冗談でも言っていいことじゃないて言ったんだよ」
「悪かったわね。はやとちりしちゃったみたいで」
アリエが恥ずかしそうに顔を湯船に沈める。そんな彼女に思わず俺は頬が緩んだ。
「気にすんな、あんなこと言ったあいつが悪い」
「でも、なんであいつあんなこと言ったのよ。まるであんたのことが好きみたいじゃない」
アリエがみかんの冗談を気にする。
「みたいじゃなくて本当に俺のことが好きみたいだぞ」
「はあ?あんたまでそんな冗談やめてよね」
俺の指摘にアリエが嫌悪する。




