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三百四十四話 アリエが一緒のカフェダムールのまかない②
「今日はカレーなのね」
アリエが今日のまかないを見る。
「ああ、ここのカレーは美味いからな」
「おや、あんた今日初めて笑ったね」
絹江さんが俺に言う。
「どういう意味です?」
「やっぱりあんた、その子のこと好きなんだねえ」
「やめてくださいよ、恥ずかしい」
しみじみと言われると照れてしまう。
「あんた、そんなにあたしが大事なの?」
アリエも照れ臭そうに言う。
「大事じゃなかったらこんな顔してねえよ」
俺はむずがゆくなった。
「ばっかじゃないの、聞いてないわよそんなの」
アリエは顔を赤くした。
「ふん、お前が聞いたんだろ」
俺も顔を赤くして鼻を鳴らした。
今日のカレーはいつもより甘酸っぱかった。
 




