三百四十一話 最近アリエがあまりカフェダムールに来ない
俺はいつも通りのカフェダムールで出入り口を見ていた。お客さんにも目を配っているが出入りを見張るのは忘れない。
注文を取って絹江さんに報告するまでに見張る、料理を配って見張る。
だがあいつは来ない、彼女は来ないのだ。むぅぅ………。
「さっきからなに見てんだよ、誰か来るのか?」
りんごが俺の様子に気づく。
「いや、別に来ねえよ」
俺は極めて平静を装った。
これで誤魔化せたか?いや、りんごは首を振っている、怪しいという状態は変わらないままだ。
「もしかして、アリエちゃんのこと待ってるのかな?」
「ああ!?いや、アリエなんて待ってませんし別に早く来ないかなとか最近来ない日もあるなとか思ってませんよ!」
すももさんにピンポイントで当てられ俺は聞いてもないことを喋ってしまった。
く、気にしないようにしてたのに、なんで言っちゃうかなー、うー。
「葉月はアリエのことが本当に大好きなんですね」
シャロンが両手を重ねて感動する。
「茶化すな、余計辛くなる………」
俺は拳を握って耐えた。
「ごめんなさい、そういうつもりじゃないんです………」
「純粋さは時に罪なんだね」
すももさんがシャロンに肩を置いた。




