三百十三話 アリエと梨子とカフェダムールと②
「言い忘れたわね。みかん、夕進学おめでとう」
「アリエちゃんもおめでとう」
「おめでとう」
アリエがみかんや夕さんと進学を讃え合う。
「ふっ」
「へへっ」
「ふふっ」
そしてアリエ達は笑い合った。学校は違えど進学という新たな道を共に歩むことは三人にとって嬉しいことだろう。
「うわ、なにその雰囲気。なんかずるいー、あたしもあたしもー」
梨子ちゃんが羨ましくみかんに身体をくっつける。
「ちょっとー、くっつかないでよー」
「いいじゃないこれくらいー」
みかんは嫌がるがお構いなしだ。こう見えて甘えん坊なのか、それとも中学からの友達がいないだけなのだろうか。
ま、妹達に新しい友達が増えるのもいいことだな。
「みかんの友達が増えて良かったな」
りんごが俺の肩に手を置く。
「人の心を読むなよ………」
「それくらい分かるだろ」
「可愛い女の子がたくさんてのもいいじゃねえか」
新井がニヒヒと笑う。
「え、一希くんて年上じゃなくて年下が好みなの?」
すももさんが新井に驚く。
「そんな、滅相もありませんよ!俺はすももさん一筋っす!」
新井は誤魔化すように両手を振る。
「なら良かった」
「あっちは年上好きだ」
梨子ちゃんが二人を見た。それだと俺が年下好きみたいじゃないか。




