三百九話 カフェダムールのフルーツミックス
絹江さんがミキサーにフルーツを入れてガーと音を立てる。
「あいよ、お望みのフルーツジュースだよ」
絹江さんが梨子ちゃんにジュースを出す。
それはオレンジだか黄色だか分からない謎の色をしていた。ただ青汁ではないので苦くはなさそうだ。
「ゴクリ………」
ただ梨子ちゃんは先ほどの脅しが聞いてるのか喉を鳴らしていた。
「いただきます」
そして恐る恐る手を伸ばしてグラスに口をつける。
「あ、美味しい」
「だろ、ごくたまにあんたみたいに面倒ないるからこういうレシピを考えてるんだよ」
「へー、どんな味なんです?」
「わたしも飲みたい!」
俺とすももさんが言った。
「いいよ、ちょうどお客さんも少ないからね」
「あんた達も飲むかい?」
「貰えるものは貰おう」
「ありがとうございます!」
絹江さんはりんごやシャロンも誘う。
俺たちも絹江さんにイエローオレンジのミックスジュースを貰った。
「ん、これは美味しいよ!」
「美味、美味ですよこれは!」
ジュースを飲みすももさんとシャロンが声を上げる。
「おお」
これは確かに美味い、まろやかかつすっきりしている。色からしてりんごやみかんが融合素材か?
「この味はりんごか?あ、いやあたしじゃなくてフルーツの」
りんごは味から素材を分析する。お前がジュースに入ってないのは重々承知だ。
「おお、よく分かったね。素材はジュースとみかんだよ」
絹江さんが答える。
「え、あたし?」
「お前も別に入ってないからな」
俺はみかんに突っ込む。
「あたしにもちょうだい!」
「わたしも気になります」
みかんと夕さんが声をあげる。
「おやおや人気だねえ、これじゃあメニュー表に加えるようかのう」
思わぬ人気メニュー誕生に絹江さんが笑う。




