三百二話 みかんの高校デビュー
「みかんちゃん?」
高校入学式の日、教室で夕がみかんに話しかける。
「夕ちゃん!夕ちゃんと同じクラスだったんだね」
みかんが挨拶する。
「友達が入学したばかりの学校にいるて嬉しいね」
「うんうん、中学校は小学校からのクラスメイトもいるかもだけど高校はそうとも限らないからね」
「君嶋みかんです!好きなものはお兄ちゃんです!」
みかんは高校に入って初のホームルームでそう自己紹介した。
「ねえねえ、君嶋さんのお兄さんてどんな人なの?」
クラスメイトの櫛枝梨子がみかんに話しかける。
「うんとねえ、喫茶店で働いててー、女の子みたいな顔してて、美味しいものを食べると急に黙って物思いに更ける人かな」
「ん?最後のはなに?」
梨子はみかんの説明に首を傾げた。
「葉月さんはたまにそういうことあるんです」
「へー、ちょっと興味あるかも」
「じゃあ見にいく?」
「え、いいの?」
みかんが誘った。
★★★★★★★
「そういや俺たちの高校、お前の妹が入学してるんだよな」
カフェダムールで新井が言った。
「ああ、もう少しで帰ってくるんじゃないか」




