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僕とカフェダムールの喫茶店生活  作者: 兵郎
十八章 二年目の冬編
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二百八十七話 二年目のバレンタイン②



そしてバレンタイン当日、バレンタインにちなみチョコを使ったデザートを店で振舞った。


「はい、葉月。今年の分」


「ありがとう」


俺は去年同様アリエからチョコを貰った。


二回目だから去年より嬉しさは半減だけど嬉しいことには変わりなかった。


「相変わらずお熱いですねー、ひゅーひゅー」


すももさんがからかってきた。


「まーたそんなこと言ってー、すももさんだって新井にあげるんでしょ」


俺は眉を潜めた。


「へ?そそそそそうだね、そうだったね。あはは………」


すももさんは偉く動揺した。


チョコあげるくらいでなにを緊張してるのだろう。


「すももさんのチョコ、どんなのか楽しみだぜ!」


新井が興奮する。


「あ、うん。今取ってくるよ」


すももさんが冷蔵庫からチョコレートを出してくる。


皿の上に無造作にラップされたそれは片方が尖った菱形の横に三角形と折れ曲がった三角形のついたチョコだった。


「おおー、これは犬ですか」


新井がそのチョコレートを見詰める。


「犬だな」


「犬ね」


俺とアリエもそれを確認する。


「やめて!それ以上言うと恥ずかしいから!」


すももさんが悲鳴をあげる。


「でも可愛いすね」


新井がニヤける。


自分のためにこんな面白いものを作ってくれたんだ、ニヤケないわけがない。いや、新井には可愛いものだったな。


「あ、ありがとう」


すももさんは思わず頬を手で覆って後ろに隠れる。


「すももさん?」


新井がすももさんの方を覗く。


「きっと恥ずかしいんじゃないか?」


「子供ね」


それを聞いてアリエが言う。


「怒ったり泣いたりすると逃げるしな」


「あれで大学生なんておかしいわ」


「うわーん!二人がいじめるー!」


すももさんが走って店を出ていく。


「あ、逃げた」


「結局いつも通りね」


「あ、待ってくれよすももさーん!」


ただ違うのは新井が追いかけて行ったことだ。

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