二百八十四話 清と夕とメイド喫茶スターと⑧
「まあ見てなさい。美味しくなーれ、美味しくなーれ、燃え燃えきゅん!」
アリエがいつもより低い声でハートマークを作りながらメイド喫茶特有の呪文を唱える。
「まー、可愛いわねぇ」
「む、これがメイド喫茶ですか」
清さんが感激するが夕さんは微妙な反応だ。
「うっ、はあはあ…………」
だが俺は清さん並の感激ではすまない、アリエの萌え萌えきゅんは以前来た時より確実にパワーアップしている。声はイメージより低いが恥じらいがない、プロのメイド喫茶店員だ。
「え、ちょっとどうしたの葉月」
俺の様子が変わってアリエが驚く。
「いや、お前の可愛さに感動してな………」
目に水滴が溜まるのを感じた。
「あ、そう。ありがとう」
なんかアリエが引いてる気がするが気にしない。
萌え萌えきゅんの呪文が終わりコーヒーを口に入れる。いつぞやの通りあまりコーヒーでは見られない甘い味だ。らしくないがこれはこれでありか。
「あら、このコーヒー甘いわね」
「飲みやすいです」
清さんと夕さんはこのコーヒーに好感を持ったようだ。
俺は好みではないんだけど。




