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二百六十八話
クリスマスの翌日、庵々にいる夕は落ち着かなかった。
前日同様時計を見てはそわそわしている。
「どうしたんだい夕、時計ばかり見て。クリスマスはもう終わったよ」
それを見て夕の祖母が言う。
「そ、そうだね。クリスマスは終わったんだった」
そう言っても夕の心は落ち着かなかった。
待っていても仕方ない、夕は意を決した。
「おばあちゃん、わたしちょっと用事思い出したから行ってくるね」
「え、そんなのあったのかい?」
祖母は夕の言葉に戸惑う。
だが夕は構わず荷物を持って出て行ってしまう。
「あ、清さん」
その道で夕は庵々に向かう清に会った。
「どうしたの夕ちゃん、そんなに慌てて」
夕の様子に清は戸惑う。
「えっと、ちょっとお買い物に………では!」
夕はまともに会話もせず清と別れてしまう。
残された清はいったいなんなのかしらと首を傾げた。




