二百六十六話 二年目のクリスマス⑨(マイク来店)
「メリークリスマスー!みんな元気かーい?」
マイクがチャラい挨拶として現れた。
「来たか、いらっしゃいマイク」
俺はマイクを出迎える。
「おせーよマイク!早くこっち来いよ!」
新井がマイクを急かす。
「まあ僕にも色々あるんだよ。我が女神はと…………」
マイクがアリアさんを探す。
ん、こいつ後ろ手に花束を持ってる。アリアさんに渡す気か?
ここからじゃ花の種類はわからないがキザな真似を。
「あ…………」
彼はアリアさんを見つけると言葉を失った。
エプロン姿に見とれたのだろうか。
「あ、あんたね。ブラックでいい?」
アリアさんが適当に言う。
「あ、ああ。いや、それよりもこの花束を………」
マイクが言葉足らずに花束を差し出す。
「あ、ありがと。でも忙しいから後で貰うわ」
アリアさんが珍しくマイクに素直に返事をした。
これは予想してなかったらしい。
渡そうとしていた花はバラだった。なんとキザな、まったくもってキザな。
「ふっ、待たせねみんな」
マイクが新井達の元に行く。
「色々あるってあれのこと?ちょっとキザなんじゃない?」
「つーかキモい」
山崎と飯山がマイクを嫌悪した。
「それは失敬だね、愛を伝えるのに花束ほど適したものはないよ」
マイクが反論する。
「へいへい、それはまあご高尚なことで」
新井が嫌味っぽく言いながらコーヒーを飲む。




