二百六十二話 二年目のクリスマス⑤(新井、飯山、山崎来店)
「しっかし、今日は随分と人が多いわねぇ」
アリアさんが周りを見渡しながら言う。
「なに言ってるのよ。今日はクリスマスよ、多くて当たり前よ」
アリエが指摘する。
多いと言ってもこの二人以外の客は老人方だ。
「それもそうね」
「メリークリスマース!お前ら今日も元気かー」
新井がハイテンションで現れる。
「ちーっす」
「わたし達も来たよー」
続けて飯山と山崎が店に入る。
「いらっしゃい、三人一緒なんて珍しいな」
俺は三人を出迎える。
「たまたまだよ、たまたま」
「本当はこんなやつと一緒とかいやだったんだけど」
だが飯山と山崎は新井を歓迎しなかった。
「こんなやつとひでえな」
新井がショックを受ける。
「まあいいや。三人ともとりあえずコーヒー飲むか?」
「いいのかよ!まあコーヒーは飲むけど」
新井が俺に突っ込みを入れつつ席に座り二人も続く。
「すももさーん、元気でしたかー?」
新井がすももさんに話しかける。
「あ、新井くん!元気だよ、ちょっと今手が話せないけどね」
すももさんが接客しながら答える。
「あの人も忙しそうだな」
新井が寂しそうに頬を膨らます。
こいつは本当に分かりやすいな。
「りんごは………と、なんか忙しそうね」
山崎が別の席で接客をするりんごを見つける。
「あいつは真面目だからな」
「で、こいつはなにをやってるんだ?」
飯山がシャロンに目を向ける。
シャロンはアリエに後ろから抱きついて離れない。
アリエはホットココアを飲んでいるがすごく嫌な顔をしていた。
「我が主は寒い中店に来て辛いのでわたしが温めてあげてるのです」
シャロンが恥ずかしげもなく答える。
「あ、そう」
飯山は突っ込みづらいのかそれ以上は言わなかった。




