二百六十話 二年目のクリスマス②(夕のクリスマス準備)
甘処庵々の看板娘、夕は時計を見てはオドオドしていた。
「どうしたんだい夕、そんなにオドオドして。まるでクリスマスパーティーに遅れそうじゃないの」
庵々の店長である夕の祖母が夕を気にかける。
「そそ、そんなことないよ?」
夕が図星を突かれ動揺する。
「おやおや、図星かい?」
「別に図星なんかじゃないし!」
だが夕は素直に言えず否定してしまう。
「そんなに気になる行ったらどうだい?」
「分かった!」
夕はこれには頷き出かける仕度をするため私室に行く。
「行ってきます!」
「遅くならない内に帰るんだよ」
「はーい」
しばらくして夕の祖母は彼女を見送る。
「まさかあの子が友達のクリスマスパーティーに行くなんてね。昔は清ちゃんとひっそりだったのに、変わったわね」
夕の祖母は感慨深くなった。
しばらくして夕の両親が現れる。一緒に住んでいるわけではないがこういう時にはちゃんと娘の元に現れるのだ。
「ただいま夕、クリスマスケーキ買ってきたぞー」
父親が言う。
「あれ、夕ちゃんは?」
母親が店の中を確認する。
「あの子なら出かけたよ、多分クリスマスパーティーじゃないかしら」
「く、クリスマスパーティーだと!普段家でしかクリスマスパーティーをやらないあの子が………」
「そんなありえないわ!」
二人は娘の変化にショックを受ける。
「あの子にも友達が出来て変わったのよ」
「友達?清ちゃん以外のか………」
祖母に言われ父親が驚く。




