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僕とカフェダムールの喫茶店生活  作者: 兵郎
3章フランスからの留学生シャロン・カリティーヌ
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二十四話 町の猫娘




ある日のことだ、俺とシャロンはバイト終わりの家路をすももさんとりんごに送ってもらっていると猫の集まっているのを見つけた。俺が前に行った空き地だ。


「うわー、猫さんですー。この街には猫が住んでるんですね」


シャロンが猫を見てはしゃぐ。


「みたいだな」


「ここの猫って全部野良なのかな?」


すももさんが言う。


「野良なんじゃないのか、首輪ないし」


りんごがすももさんに答える形で言った。


「礼子さんが言ってたけどこの辺りは猫が多いだってさ」


俺は付け加えた。


猫の中の一匹が俺のところに駆け寄ってきた。黒い体毛の中に白い部分が一本線のように走ってる猫だ。


「こいつ、人慣れしてるな」


俺はこの猫を撫でながら言った。それは人間が自分を撫でる存在だと分かっているような動きをしていたのだ。


「この子、首輪があります。飼い猫ということでしょうか」


シャロンが俺の撫でてる猫を見て言った。


「ほんとだ、誰かが飼ってるんだけど普段はみんなと一緒にいるのかな」


「他のやつらと絡んだ方がこいつも楽しいってことか」


「おいでー」


シャロンが別の猫をおびき寄せ顎の裏を撫でるとその猫は気持ちよさそうに音を立てる。


「ふふっ、可愛いですー」


シャロンが言う。俺にとっては猫を愛でる少女の方が可愛いく見えた。


「あ…………」


すももさんがまた別の猫に触ろうとするが逃げられてしまい、残念そうな顔をする。動物とは癒しだがそれに触れないとはなんともいたたまれない。


「姉貴は昔から動物が苦手ででな、動物園の触れ合いコーナーとか行っても逃げられるんだよ」


そういうりんごは猫に触ろうともしない。


ジー、俺とシャロンは黙ってりんごを見詰める。


「あたしはいいんだよ」


素っ気ないりんごの返事、りんごも動物が苦手なのだろうか。


「なんでだよ?」


「猫、可愛いですよ?」


シャロンが猫を抱き上げりんごを見せる。


「この歳になって猫とかガラじゃねえっていうか………」


唸るように言う、ようは恥ずかしいということだろうか。


「来んなって!あたしんとこ来てもエサとかねえから!」


りんごの足元に猫が一匹近づき追い払われる、もったいない。


いつの間にか俺の前には猫が大勢群がってきた、黒いやつに釣られてきたのだろうか。


「待ってろ、順番に撫でてやるからな」


大勢の猫を一匹ずつ撫でていく。


「すごいですハヅキ、わたしのところには一匹しか来ないのに」


「猫に好かれるフェロモンでもでてんじゃねえの」


シャロンとりんごが俺に群がる猫を見て言う。


「それは褒めすぎだろ最初の一匹に釣られただけだって」


俺は謙遜して言う。


「いいなー、わたしにも分けて欲しいなー」


すももさんが子供のように指をしゃぶって物欲しそうにこっちを見ていた。


「なら一匹触ります?」


俺は首輪のついたやつを抱き上げすももさんのところに連れていく。すももさんの手がスーっと猫に伸びていく。


「あ………」


もう少しというところで猫が俺の手から離れてしまった。やはりすももさんは動物に嫌われる運命なのか……………。


フシャー!


猫の一匹が唸ると他の猫達が一斉に散っていった。


「なんだあいつ」


「なんかボロボロだぞ」


その猫は顔や身体に所々傷跡があり長年の戦いの足跡を思わせた。


「他の子より強そうです」


そのたたずまいはヌシと言っても過言ではない。ヌシは他の猫達を追い出すと人気いや、猫気のなくなった空き地を悠々と歩いていた。やがて落ち着いたところで座り込む。


「そろーり、そろーり」


すももさんがヌシにバレないように近づく。


フシャー!


「ひゃっ!」


歯を剥き出しにして威嚇されすももさんは尻もちをついてしまう。


そんな中、首輪のついた黒い猫が俺の元に戻ってきた、俺はそいつの頭を撫でる。ヌシに追い出されたにも関わらずすぐに戻ってくるとは図太い性格をしていると見える。


「葉月くん、その子誰?」


「こいつは…………」


すももさんに言われて気づいた、以前猫に紛れてじゃれていた少女がいたんだ。


「撫でて欲しそうにしてますね」


シャロンが少女を見て言う。確かにその少女の目は輝いていて撫でて欲しいと訴えてるようだ。


「にゃー」


シャロンが試しに撫でてみると気持ちよさそうにする。


俺も顎の裏をさすってみる。


「きゅー」


にしても変な鳴き声だなこいつ。猫なのか小動物なのか分からないぞ。


「姉貴、もしかしたら人間なら触れんじゃねえの?」


りんごがすももさんに勧める。


「え、流石にそれは違くない?」


すももさんが真顔で否定した。


「でも中身猫っぽいぞ?」


「む、確かに」


りんごの説得であっさり納得するすももさん。少女に近づこうとするも顔が合い止まる。睨み合う二人、ジャキーン、ジャキーンと交錯する。


「やっぱいいや」


先に音を上げたのはすももさんだった。


「にゃーん」


少女は逆に俺に抱きついてきて戸惑ってしまう。猫のような性格とはいえよく知りもしない少女に抱きつかれるのはちょっと…………。


「葉月、お前…………」


「幻滅しました……………」


少女に抱きつかれてる俺を見てりんごとシャロンにジト目で見られてしまった。


「違う!決して女の子に抱きつかれて喜んでるとかそんなんじゃない!」


「どうでしょう、男の人が女の子に弱いのはどの国でも同じですから」


「姉貴に怒られても知らねえぞ」


「だから違うって!」


俺は必死に否定するも信じてもらえない。


「あー、知らない知らない。わたしは見てないからねー」


当のすももさんはそっぽを向いていた。なんていうか、もう泣きたい…………。


その後少女をなんとか引き剥がし着いてくる少女を説得して家に帰るよう言ってようやく家路についた。

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