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二百四十五話 アリエとシャロン
秋も深まり始めた頃、アリエはシャロンに言う。
「下僕、あたしの肩を揉みなさい」
アリエはなぜかシャロンを下僕として扱っている。
小動物のようだから下僕として扱いやすいからだろう。
「はい、ただいま」
シャロンもうやうやしくアリエの肩を揉む。
出会って二年目にして完全に下僕として馴染んでしまっている。この光景も何度も見てきたしな。
もう完全に下僕でいいんじゃないかな。
だが珍しくシャロンは難しい顔だ。
「どうした?悩みでもあるのか」
俺はシャロンに声をかける。
「はい。下僕と主、というのに少し悩んでまして………」
「なによ、なにか不満でもあるの?」
アリエが不機嫌になる。
「不満というか要望というか………」
シャロンは歯切れが悪かった。
「はっきりしないわね」
アリエはますます不機嫌になる。




