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僕とカフェダムールの喫茶店生活  作者: 兵郎
十六章 二年目の夏編
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二百三十九話 アリエの別荘⑱(すももとりんごは両親の墓参りに行かねばならない)



次の日、葉月とみかんは両親と合流して墓参りに行くことになった。


寝室にいるすももは思うところがあり張り詰めた顔をしていた。


「どうした姉貴」


そんなすももをりんごが気にする。


「そういえばお父さんとお母さんの墓参り、してないなって」


「そういえば婆ちゃんに任せっきりで行ってないな」


二人の両親は交通事故で死んだ。墓参りに行けば両親が死んだという事実を思い出すことになる。それが二人には辛かったのだ。


「この旅行から帰ったら二人のお墓参り行こうよ」


「急にどうした」


りんごは去年は行ってなかったのになぜ今年になってという疑問を浮かべる。


「去年はまだ心の整理ついてなかったけどそろそろちゃんと二人の死に向き合わないと思って」


「もしかして、葉月とみかんが墓参りに行ってるからか?」


りんごが推測するとすももがうんと頷く。


「でもあたしは………」


だがりんごはすもものようにまだ心の整理など出来ていなかった。まだ両親の死と向き合うとが恐いのだ。


「あーあ、それじゃあお父さんとお母さんのお店は継げないなぁ」


すももが馬鹿にする。


「なんだと…………」


りんごが眉を潜める。


二人は大人になったら両親の店を継ぐ、幼い頃からそう夢に誓っていたのだ。


両親は大人になったらと笑い飛ばしていたが高校生になって冗談とも言えなくなってきた。


それでもすももはその店を継ぎたいと心の奥で思っている、それを伝える前に両親は死んでしまったのだ。


「だってそうじゃん。まだ二人にお店継いでいいって認めてもらってないのに継げるわけないよ。せめてお墓で許しをもらわなきゃ」


すももは続けた。


「いいさ、行ってやるよ!墓参りぐらいあたしにも出来るってとこ見せてやる!」


りんごは躍起になって元の提案を飲んだ。


「じゃ、決まりだね」


すももはニヒルに笑う。


この時りんごはすももに乗せられたということに気づかなかった。

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