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二百二十三話 アリエの別荘③(出迎え)
「お待ちしておりました」
建物につくと玄関で白髪オールバックの優しそうなおじいさんが出迎えた。優しさの奥に強い意志を感じた。年季の入った仕事人という感じだ。
「ありがとう藤丸、薫子を手伝ってくれる?」
「承知しました」
アリアさんがおじいさんに言う。藤丸さんのお辞儀はきっちり90度だった。
気がつくと薫子さんがトランクから荷物を出していた。
「いえいえ薫子さんが持たなくていいです!自分でやりますって!」
俺は慌てて自分の荷物を薫子さんから奪い取ろうとした。だが薫子さんは荷物を離さない。
「いえいえここはわたしがやります」
「いや俺がやりますって」
薫子さんはまだ荷物を離さない。
「ちょっと、なにやってるのよ!あんたはゲストなんだからこいつと藤丸にやらせなさいよ」
「お、おう」
アリエに怒られてしまった。
 




