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僕とカフェダムールの喫茶店生活  作者: 兵郎
3章フランスからの留学生シャロン・カリティーヌ
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二十一話 すももさんは年上で大学生でした





すももさんが絹江さんと大学の入学式に行く日のことだ。


「ええっ、スモモは大学生なんですか!?そ、それじゃあスモモではなくスモモサン…………。あわ、あわわわわわ」


シャロンが口に手を当て慌てる。そりゃあもう今まで高校生だと思ってたのだから無理はない。というか俺すももさんのこと紹介する時大学生て言ったっけ。


「今まで無礼な態度とって、申し訳ありませんでしたー!」


そして土下座までしてしまった。


「いやそんな、畏まらないでよ!そんなことされたらわたしだって困っちゃうよ!顔上げて!ね?」


すももさんも慌ててシャロンを落ち着かせる。


「怒らない、ですか?」


「怒らない怒らない!」


すももさんが手を振ってシャロンの問いを否定する。


「スモモさん、あなたはいい人です。このご恩は一生忘れません!」


「そんな一生忘れるほどの恩じゃないんだけど…………」


シャロンの言葉にすももさんはたじたじになってしまう。


「えっと…………確かにわたしはシャロンちゃんより歳上だけど敬語とか無理に使わなくていいよ、さん付けもいらないから」


すももさんがシャロンに無礼講を申し出る。


「敬語って……………、なんですか?」


ズコー!俺達はシャロンの言葉に思いっきりずっこけそうになった。


「お前わかんないまま今まで敬語使ってたのかよ…………」


「あたし達に気使ってたんじゃないのか……………」


日本語が完璧でないとはいえ敬語という言葉を知らなかったシャロンに俺達は驚きを隠せない。


「あ、敬語って気を使うものなんですね」


「気を使うっていうか……………、目上の人とか初対面の人に使うあれだよ」


俺はフランス語を使えないのでなんとか日本語で敬語の意味を伝えようとする。


「あー、なるほどー」


意味の上では敬語を理解するシャロン。


「ほら、ですとかますとか言ってる…………」


りんごも苦労しながら敬語の具体的な部分を伝えようとする。


「あ、それが敬語ですか、初めて知りまシター」


ですますは厳密には丁寧語だが敬語の仲間には違いない。敬語を初めて知ったということはフランス語には敬語という概念はないのだろうか。中学で習った英語にも丁寧な言い方はあるが敬語よ呼ばれるものはなかった気がする。


「じゃあ、今日からわたし達にはですます無しで喋っていこうよ!」


すももさんがシャロンに提案する。


「分かりましたスモモ!あっ…………」


敬語をやめようとするも失敗するシャロンが声を上げる。


「ははっ、すぐに敬語やめるのは無理みたいだね」


すももさんが笑う。


「すいません…………」


「いいよいいよ。敬語使っても使わなくてもシャロンがわたし達の友達なのは変わりないよ!」


謝るシャロンにすももさんが励ます。


「トモダチ、ですか………」


「ああ、友達だ」


シャロンの言葉を俺は肯定する。


「まあ、あれだ。ちょっと照れくさいけど友達ってやつになってやってもいいけど…………」


りんごが頬をかきながら言う。


「ふふっ、リンゴは照れ屋さんですね」


そんなりんごを見てシャロンが言った。


「恥ずかしいんだよこういうのは」

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