二百七話 みんなで庵々に来た⑩
「はあ、なに意味わかんないこと言ってんだし」
「まったくだ、わけが分からん」
「というかアライらしくありません」
飯山達が口々に戸惑いの色を見せた。
「さしずめ、俺たちは飯を食ってるんじゃない。飯を食う時間を食ってるんだ、てか?」
俺は新井の考えを推測した。
「まあ、そんな感じ?」
「なんだしそれ、なんかの詩?」
「それとも中二病的な何かか?」
飯山とりんごが馬鹿にしたように言う。
「悪かったな、中二な詩で」
俺は悪態をついた。
「でも、あんたとの時間は悪くないわ」
アリエが励ましてくれた。
「遠回しに褒めんなよ、照れんだろ」
「うっさい馬鹿、恥ずかしくなったじゃない」
今度は怒られてしまった。
「わたしもその言葉には感銘しました」
「うん、やっぱりみんなと一緒なのは楽しいよね」
シャロンとすももさんが俺に同意した。
それを聞いて飯山とりんごも何も言わないながら笑みを浮かべた。
店を出て俺はみんなに言った。
「なあ、またみんなでどっか行こうぜ」
「別にあたしは他のやつとかいらないけど葉月が言うならいいわ」
アリエが偉そうに言う。
「お、お前も放課後ティータイムの良さが分かるようになったか」
新井が俺に肩を回す。
「だからってくっつくな気持ち悪い」
「ちょっと一希くん来ないでよ恥ずかしい」
俺は新井をすももさんの方に寄せてすももさんが悲鳴を上げた。
「あ、ごめんなさいすももさん」
「今度ははるちんも呼べるといいかな」
飯山が言った。はるちんというのは山崎のことだ。
「ふ、悪くない」
「ええ、また来ましょう」
りんごとシャロンも同意した。




