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百八十八話 夕の気持ち、清の気持ち②
「ねえあんた、あんたはすもものことどうおもってるのよ」
アリエが清さんに言う。
「ええっ、そんなこと聞くの?それはもう、わたしの理想で、わたしの大事な親友で、愛すべき………ひ、と」
清さんがうっとりして言う。それはもう女神への告白にさえ見えた。
「で、あの夕とかいう女は?」
「夕ちゃん?夕ちゃんは………あ、うん、幼馴染?」
今度は首を傾げながら言ってきた。さっきと大分態度が違うじゃないか。
「なんで疑問形なのよ?」
「幼馴染なのに扱い軽くね?」
「それは………えっと………」
すると清さんは目を逸らして走り出した。
「あっ、ちょっと!」
「逃がすか!」
俺達は清さんを追いかける。
「葉月!」
「おお!」
俺は手を重ね中腰になる。その手にアリエの足が飛び俺は足を踏ん張って上へ飛ばす。
「ふん!」
「とうっ!」
アリエが勢いよく飛び清さんの前に回る。
「ひゃっ」
驚いた清さんは短く息を漏らして尻もちをついてしまう。




