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百六十六話 たまには喫茶店以外の店も③
そうこう歩いてると甘所と書かれた看板を見つけた。俺がそこに注目して止まるとアリエも止まる。
「あんた、こういうのが行きたかったの?名前が、庵々?」
「変わった名前だよな」
「ほんと、変な名前」
変な名前とは言ったが俺たちはまるでファッション誌にありそうな名前につい凝視してしまう。
「入るか」
「ええ」
凝視すること、それはもはやこの店に入ることを決定づけていた。
「いらっしゃい」
「いらっしゃいませ」
店主の老婆とその孫娘らしき少女が出迎える。絹江さんと違って優しそうなおばあさんだ。孫娘も眼鏡に三つ編みですももさんと逆に大人しそうなオーラがある。
そこで俺たちはカウンターに座ってる人と目が合った。




