百五十七話 すももは一希のことどう思ってるのか
山登りの次の日のバイト、俺はカフェダムールですももさんに聞いた。
「そういえばすももさんて、新井のことどう思ってるんです?」
付き合ってるか、ではなくどう思ってるか、である。直接聞くと怪しいのでそれとなく聞いた。
「ええっ!?あああ一希くん?ななななんで急に一希のこと聞くの?」
すももさんがあからさまに動揺して聞き返した。わかりやすい、まさに、ビンゴだ。彼女は新井に気がある、男の興味が俺から新井に移ったか。
「そうだ、なんであたし達のクラスメイトが出てくるんだ」
「アライに、なにかあったのですか?」
りんごとシャロンが不思議に言う。
「昨日すももさんと親しそうに話していた、まるで男女の仲のようにな」
俺は事情を説明した。
りんごとシャロンの顔が驚愕に変わった。あまりにわかりやすい驚きの顔である、これで驚かないと言ったらなんなんだと言う顔だ。
りんごまでその顔をしたということは彼女は昨日のあの時を見てないようだ。
絹江さんは知っていたのかという顔だ。店長である彼女が知らないということはないからな。
「なんで知ってるの、もしかして………見た?」
すももさんが顔を赤らめた。
「気づいてなかったってことは余程夢中だったんですね」
俺は皮肉を込めた笑みを返した。するとすももさんの顔がさらに赤くなる。それはもう真っ赤なりんごかというくらい。
「葉月くんの………」
すももさんが涙目になる。おっと、これは久しぶりに来るか。
「すっももさーん」
当の新井が店に現れる。
「ばかーーーーー!」
予想通りすももさんが走って店を出て行った。
「うわ、すももさん?」
新井がすももさんに驚く。
「追いかけてやれ、できるだろ?」
俺は新井の肩に手を置いた。
「あ、ああ」
一度は中に入ったが新井はすぐにすももさんを追いかけるため外に出ていった。
これで二人のいちゃつきを見ずに済む、見ていたらイライラして仕事にならないからな。
「新井がよく姉貴に話しかけてたのは知ってたがまさか仲がよくなるなんてな」
「はい、驚きです」
りんごが関心しシャロンが同意する。俺も昨日はかなり驚いたよ。




