百五十四話 頂上での昼食
俺はアリアさんの背中を追った後アリエを見た。
「先食うか?」
俺はマイ箸をアリエに差し出した。
「いいの?」
「どうせ後から割り箸来るしいいでしょ、俺だけ食うってわけにもいかないしな」
俺は箸を差し出す理由を答えた。
「ふん、使ってあげるから感謝しなさい」
アリエは偉そうに箸を受け取った。
「へいへい、ありがたく使われますよ」
アリエは卵焼きやウインナーを口に入れていく。あからさまな笑顔でないがそれは嬉しそうな顔だった。
「ん」
「うお」
なんとアリエは俺の口にウインナーを入れてきたんだ。
モグモグとウインナーを口の中で咀嚼する。うむ、よく焼けてる、というか焼いた。
「て、なにすんだよ」
いきなり口にウインナーを入れられて俺は強く言った。
「星の恵みよ、感謝しなさい」
アリエがわけの分からないことを言ったがすぐに由来が分かった。
「星、あ、星宝だから星の恵み………うご」
それを口にしたら今度は卵焼きが入れられた。これは既製品で少し強めの甘みが広がった。
その後もアリエは俺にご飯や青菜などを入れていく。
ガタン!アリエの隣でプラスチックの弁当ケースが強く置かれる音がした。
「ほんと、仲いいわねあんた達………」
アリアさんがドスの効いた声で言った。
「ならアリエ一人で行かせれば良かったじゃないですか」
「それはそれで心配なの」
「お姉ちゃんうざい」
アリエが軽蔑の目で言った。
「うざ、うざい!?そんな、最近言われてないのにまたうざいだなんて、は、反抗期?!」
アリアさんがショックを受けてアリエから距離を置いた。
めんどくせぇ、俺はアリアさんの弁当を入れた袋から割り箸を一つ取った。ちゃんともう一個あるから取っても問題ない。
最初は一人でゆっくり食べるつもりだったがま、こういうのもありか。どちらにせよ、ここから見える風景は格別だ、気を休めるにはちょうどいい。




