百五十三話 頂上に到着
俺は足をクタクタにし、息をふうふう切らしながら頂上についた。
「ふぅー」
息を吐いて頂上の景色を見渡す。頂上の端に行かなくとも街の景色が一望できる。見渡しがいい、ピクニックに来た甲斐があるものだ。
そこには俺たち以外にもたくさんの人たちがいた。もっとも、平日だから仕事をリタイアした時間のある人ばかりだ。
「ちょっとあんた達、遅いわよ」
アリエが後から来た俺とアリアさんに言った。
「うるさいな、これでも急いで来たんだよ」
俺は彼女に文句を言った。
「そんな急がなくても山は逃げないわよ」
アリアさんが言う。
「ふう、いい景色だ」
俺はよく見えるところで街の景色を眺めた。近くで見ると大きい家があんなにも小さくなっている、流石は山だ、気分がいい。
「さてと」
人気のないベンチに移動してリュックからハンカチで包んだ弁当を出す。
「なによそれ」
アリアさんがハンカチの中身を聞いてくる。俺はハンカチを解いて中身を出した。ご飯と共にポテトやハンバーグ、青菜など様々な野菜があった。
「弁当?まさか、自分で作ったの?」
「まさかぁ、冷凍食品の寄せ集めですよ」
俺は笑って答えた。
「ちょっとー、なに二人だけで盛り上がってるのよ。あたしにも寄越しなさいよ」
アリエが弁当に気づいて怒った。
「それもそうね、わたしもお腹が空いてきたわ」
アリアさんが便乗する。
「勝手についてきた癖によく言いますよ」
俺は苦い顔をしたがリュックからもう一つ弁当箱を取り出した。
「なによ、もう一つあったんじゃなーい」
アリエが声を上げる。
「たまたま作り過ぎただけだよ。つうか余りはこれ一個しかない、あと箸もない」
俺はそっけなく答えた。
「じゃあわたしの分はないってこと?どういうつもりよ、もう一つ寄越しなさいよ!」
アリアさんが怒って俺の肩を揺らした。
「だから勝手についてきたのに偉そうに言わないでくださよー。ほら、あそこの売店でなんか適当に買ってきたらいいじゃないですか。ついでにアリエの箸も貰うとかしたらいいじゃないですか」
俺は頭を痛めながら答えた。
「分かったわよ。いけばいいんでしょ、行けば」
アリアさんが嫌々売店に向かった。




