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百五十二話 山登り開始
買い物を済ませ店を出る。
「さてと、行くか」
目の前には山がそびえ立っていた。
「本気で行くの?」
アリエが不安げに俺を見る。
「大丈夫だよ。富士山じゃあるまいし、低い山だからすぐ頂上までいけるって」
「そう?ならいいけど………」
「しっかしなんでこんなところに行くのよ」
アリアさんが聞いてくる。
「気分ですよ、気分。春はこういのが似合うんです」
「急に詩人みたいなこと言い出したわね」
★
俺たちは山を登り始めたがアリエが先に行っていた。俺とアリアさんはゆっくり歩いているが彼女はピョンピョンと飛び跳ねるように登っていく。
「おいアリエ、待てよ」
俺はアリエを呼び止めた。
「なによ、もうバテたの?情けないわねぇ」
アリエが俺を馬鹿にしてくる。
「バテてねえよ、お前が速いだけだっつうの」
俺は言い返した。
「じゃあノロマなの?どっちにしろ情けないことには変わりないわね」
再び馬鹿にしてきた。
「言われてますよお姉さん」
俺はアリアさんに言った。
「あんたもよ葉月」
「へいへい」