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僕とカフェダムールの喫茶店生活  作者: 兵郎
十五章 春編
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百五十一話 山に行く前に杖を買おう




バス停は山の前だが俺は反対方向に歩く。


「ちょっと、どこ行くのよ。山に来たんじゃないの?」


アリエに引き止められ俺は向こうのレストランを指した。


「もうお昼?早くないかしら」


アリアさんが言う。


「さっき見たけどちょっと使えそうなのあったんだよ」


「使えそうなの?」


俺はレストランに入ると入口近くにある杖を見つけた。


「使えそうなのってこれのこと?」


アリエが杖を手に取る。


「ああ」


黒いシンプルなプラスチック製のや青や赤のカラフルな杖から無骨な木製の杖や金属製の杖もあった。


俺はその中から木製のごつごつしたものを取る。杖というからにはやはり木製だな、しかもつるつるよりも多少ごつい方がいい。


まず強度が違う。いや、木という以上木の種類と太さ以外で強度は変わらないがごつい分強そうに思えるのだ。


「うん」


俺は軽く頷いた。


「あんた、杖なんて持ってどうすんのよ。そんな歳だったの?」


アリエが聞いてきた。


「安全装置だよ、安全装置。足が多い方が転びづらいだろ?」


「ふーん、あたしも買っていこうかしら」


「そうね、あなたが怪我したら恐いもの」


アリアさんがアリエに言う。相変わらず妹が心配な人だ。


俺が杖をレジで会計して戻るとアリエとアリアさんが杖を選んでいた。


二人は色つきのを出しては見て引っ込め、出しては見て引っ込めとしていた。どうやらなにを買うか考えあぐねているようだ。


「お前なら、こういうのが合うんじゃないか?」


俺は黄色い杖を取り出してアリエに言う。


「どうかしら。でも、あんたが言うなら買ってあげていいわ」


yes寄りだがyesかnoか分からない返事だ。


「いや、似合うと思うんだけどなぁ」


「そこまで言うなら………買ってあげる」


もう一押ししてみるとyesになった。


「あんたもやるじゃない」


俺とアリエのやり取りを見たアリアさんが言う。


「茶化さないでください」


俺はしかめっ面で答える。


「女の子は押しに弱いのよ、それが出来るなんてやるじゃない」


「俺は普通にしただけです。で、アリアさんは何か買うんですか」


俺はアリアさんに聞いた。


「これにしようとかしら」


アリアさんが出したのは金ピカの突起があちこちについたタイプだった。


「そ、そうですか………」


苦い顔で答える。本物の金ではなくメッキだろうが正直趣味が悪いな、うん悪い。

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