表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕とカフェダムールの喫茶店生活  作者: 兵郎
十四章 冬編
150/594

百四十九話 バレンタインの三角関係②




「ねえ、どこへ行くつもりよ」


店の外でアリアが言う。


「もちろん、すももちゃんのところよ」


清が答える。


「すももてどこにいるのよ」


そう返されると言葉が止まる。


「うーん、りんごちゃんのところかしら。直接聞いたら怒られるからりんごちゃんに聞こうかしら」


「なるほど、頭いいわね」


「それほどでもないわよぉ」


アリアに褒められ謙遜する。


りんごにメールで聞いた結果メイド喫茶スターにいることが判明した。





りんごはすももを慰めるためにメイド喫茶スターに彼女を連れてきたがいかんせんいい気分ではなかった。こういう時彼女はやけ食いをしそうだと思ったが予想とは違ったのだ。


ズゾー、ストローでジュースをすする音が響く。


すももはずっと暗い顔でジュースを飲んでいるのだ。ちびちび飲んではお代わりしている、もはややけ食いで済むレベルを超えているのだ。


「相席、いいかしら」


アリアが二人に言う。


「ああ、今ちょっと………てあんたらか」


りんごがアリアと清に気づく。


「葉月くんに振られたんですって?」


清が聞いた。


「振られたのは前から………」


すももが力なく答えた。


「はあ…………分かってたつもりなんだけどなぁ」


ため息をつく。


「なにがよ」


アリアが聞く。


「葉月くんにはアリエちゃんがいるってこと」


「え、じゃあなんでチョコあげようとしたのかしら」


アリアはわけが分からなくなった。


「分かってるわよ、自分が馬鹿だって。でも好きなんだもん、しょうがないじゃない」


すももが口を尖らせる。


「一途ねえ、そういうところわたし好きよ」


清がすももに熱視線を送る。


「茶化さないでよもう」


すももがまた口を尖らせる。


「で、これからあいつのことどうするの?結局諦めるの?ない?」


アリアが聞いた。


「諦めたくない、なんて昔なら言ってたんだけどなぁ」


すももが憂鬱に言う。


「昔って数ヶ月しかあいつと戦ってないだろ」


りんごが突っ込んだ。アリエとすももが恋の争いを始めたのは七月からで現在は二月である。


「数ヶ月なんだけどまあ、あああからさまに拒絶されるとねなんていうか…………」


「萎えちゃうかしら?」


アリアが言うとすももが頷いた。


「はは、気にしない方が無理かな」


すももは力なく笑った。


「他に好きな人とかいないのかしら」


清が言う。


「いないわよー、今は葉月くんに夢中だもん」


否定されてしまった。


「じゃあ気になるやつってのは?好きとかじゃなくてこいついいんじゃないかてやつ」


りんごが聞き方を変える。


「あー、うーん…………」


すももは新井が浮かんだ、葉月の昔からの友人である。彼は店に来る度自分に接触してくるので気にならないと言えば嘘になる。


「いや、ないなぁ、うん、ない」


だが首を振った。彼は下心を持って接してくるので合わない気がするのだ。


「はあー、ほかにいい男いないかなぁ」


すももは憂鬱を吐いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ