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僕とカフェダムールの喫茶店生活  作者: 兵郎
十四章 冬編
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百三十九話 クリスマスだからって彼女が気になるわけじゃないぞ



「メリークリスマース!」


新たな客がこう言った。その人は金色の髪をしていてあいつに似ていた。


「なんだ、あんたですか」


その人を見て俺は落胆した。アリエかと思ったらお姉さんの方だった。


「なんだとはなによー、せっかく来てあげたのにひどいわねぇ。ていうかほの格好なに?クリスマスツリー?へんなの」


アリアさんが俺の対応に文句を言うと格好の方を馬鹿にしてきた。


「失礼、いらっしゃいませお客様」


俺は格好のことは無視して改めて新たな客を招く挨拶をした。


「まあいいわ、席に案内してちょうだい」


「かしこまりました」


俺は彼女をカウンター席に連れていく。


「とりあえずカフェモカひとつ」


「カフェモカひとつですね、少々お待ちを」


俺はカフェモカを淹れる準備にかかる。その間俺はあいつが来ないかとドアの向こうを睨みつける。


「アリアちゃんメリークリスマース!」


すももさんがアリアさんに挨拶する。


「メリークリスマス、すもも。サンタの衣装似合ってるわね」


「そう?それほどでもー、あるわね!」


アリアさんに褒められすももさんがふんぞり返った。


「あの子ならまだ来ないわよ」


フィルターに挽いた豆をセットした頃アリアさんが言った。


「あの子って誰です?」


俺は心臓を鷲掴みにされた感覚になった。


「なによ、あんたアリエのこと探してたんじゃないの?」


「べ、べべべ別に探してたとかそういいことじゃないですよ」


俺は思わず挙動不審になってしまった。


「あの子ならしばらく来ないわよ」


「なんでです?」


「え、アリエちゃん来ないの?」


その一言にすももさんも反応した。


「内の店なんか知んないけどクリスマスだからって気合い入れてるのよねぇ。間宮の店なんかに負けないなんて言ってるのよ、ほんと馬鹿みたい」


アリアさんは呆れた様子で言うと近くにいた絹江さんがほっとしたような顔をした。ふっ、クリスマス商戦して良かったとか考えてる顔かな。もしやらなかったら戦う前から祥子さんに負けてるところだ。


「で、律儀にあの子も手伝ってるってわけ」


なるほど、それであいつは来ないってわけか。ま、絶対来ないってわけでもないし大丈夫か。


「って、あんた大丈夫?」


アリアさんが俺を心配する。心配されるような状態だろうか。


「なにがです?」


「しーわ、寄ってるわよ」


言われて俺はそこを抑える。


「そんな寄ってたかな……」


「大丈夫よ、恋人が待ってるんだから。あの子は絶対来るわ」


「はい………」


と言われてもやはり調子が乗らん気がする。

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