百三十一話 クリスマスというお祭りと戦うのです
冬編パート1、クリスマス編スタートです
あと一週間でクリスマス、俺は気になることを絹江さんに聞いた。
「絹江さん。この店、クリスマスってなにかやるんですか」
「まあ、ケーキを多めに作るくらいかねえ。あんまし派手にやってもしょうがないからのう」
絹江さんの返事はあんま乗り気じゃなかった。
「えー、つまんなーい。せっかくだから派手にやろうよー」
すももさんが口を尖らせる。
「やだね、あんたが頼んでもやらないよ 」
孫であるすももさんの頼みなのに絹江さんは聞かない。
「運動会の時はやる気だったくせに今回はどうしたんだよ」
りんごの言う通りだ。
「あれはあれじゃよ、戦いに勝つのは嬉しいからの」
戦闘部族のような答えが来た。
「なら、クリスマスも戦いましょう!」
シャロンが両手を重ねて言った。
「は?」
「どういうこと?」
「クリスマスに戦い?」
俺たちは彼女の言わんとすることがわからない。
「クリスマスも運動会と同じ年間行事です、ならクリスマスというお祭りと戦うのです。どれだけクリスマスにお店を盛り上げられるのかを他の店と競いましょう」
シャロンが説明する。
「なるほど、そういうことか」
俺はうんうんと納得した。
「面白い」
「戦っちゃおー」
りんごがニヤリとしてすももさんが拳を高く上げて言う。
「キヌエさん、どうでしょう?クリスマス商戦、やりませんか」
シャロンが絹江さんに伺うが俯いて答えない。
「他の店………星宝の………すもも!りんご!葉月!シャロン!わしらも本気出すぞ!クリスマス、勝つのはあたしらじゃー!」
拳を握りしめて大声で言った。
『は、はい!』
その迫力に俺たちは思わず二つ返事しかない。この人と共にクリスマスを戦うんだ!