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僕とカフェダムールの喫茶店生活  作者: 兵郎
十三章 町内運動会
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百二十四話 綱引き本番


『そーれ!そーれ!』


綱引きが始まり俺はチームのみんなと掛け声を出しながら綱を引く。相手も練習してるからか相当重い、引っ張られる。


「お、おもいー」


すももさんが綱の重みに唸る。


「なんであたしがこんなことやらなきゃならないのよ、意味わかんないし」


アリエが悲鳴を上げた。


「全くね、この星宝アリアを捕まえてこんなことさせるなんてどういうつもりかしら」


アリアさんが悪態をついた。


「辛いです」


シャロンの短い言葉が彼女の負担を際立たせた。


「今さらだけどこんなことになるなら出るんじゃなかったよ」


俺も悲痛な呟きをした。


「おいおいあんたらもう諦めるのかい、まだ早いよ」


絹江さんが俺たちの後ろ向きな言葉を聞いて言う。


「あたし達、負けるかもな……」


りんごが絶望の声を上げた。


「はあぁ?負けるぅ?この星宝アリアがぁ?」


りんごの絶望にアリアさんがクエスチョンマークを単語の後ろに何度も付けてきた。一見馬鹿にしてるようでかなりイラついてそうだ。


「バカ言わないでちょうだい。わたしは天下の星宝アリアよ、この程度のことで敗北なんてあるわけないじゃない。そうよね、アリエ」


その言葉は天よりも高いところから投げかけられた。


「当然じゃない、あたし達は負けない。そうよね、葉月」


アリエが今度は俺に同意を求めてきた。


あまりに強気な発言が続いてふっ、と息が漏れた。


「そうだな、俺たちは負けない!だろ、シャロン、りんご、すももさん!」


俺も力強く言ってみんなに呼びかけた。


「ハヅキ…………はい!」


「当然だ」


「大丈夫、本気の本気で行くからね!」


『そーれ!そーれ!』


俺たちは声を合わせて綱を引っ張る。負けないと思ったところで勝てるとは限らない。だがそう思えば自然と力が湧いてくるのだ。その力は徐々にこちら側に綱を引き込んでいく。


やがて勝利者を告げるアナウンスが鳴る。


「勝者、第三班!」


「三班、てことは俺たちの班、ですよね」


俺は絹江さんに確認する。これで相手の自治会の班だったら恐いな。


「わしらだよ、わしらが勝ったんじゃ」


肯定の答えが来て俺はアリエと顔を合わせた。なんだ、このドキドキ、障害物競走で勝った時とはまるで違う感じ、胸が高鳴って止まらない。今すぐ目の前のこいつとこの快感を共有したい!その気持ちでいっぱいだ。


「やったなアリエ!」


「勝ったわ葉月!あたし達、勝ったのよ!」


俺とアリエは抱き合ってジャンプした。いや、これだけじゃ足りない、この喜びはこの程度では表せない!今度は手を取り合って飛び跳ねながらグルグル回った。


「どう?たまには運動もいいでしょ」


祥子さんが勝利に酔うアリエに言う。


「悪くないわね、こうして愚民どもがひざまついてくれるならたまにくらいやってもいいわ」


これまた上から目線だがアリエは祥子さんの言葉を肯定した。


「ならこのまま次の玉入れもやれるわね」


「え、ええ………」


アリエが苦笑いする。流石に連戦はきついな、休憩とかあったかな。

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