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僕とカフェダムールの喫茶店生活  作者: 兵郎
十三章 町内運動会
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百二十二話 綱引きの練習



障害物競走の後はパン食い競走だ。糸でぶら下がっているパンをジャンプしくわえる、そのままゴールまで走るゲームだ。


「パンをくわえながら走るなんて野蛮なスポーツ、やってられないわ」


ということでアリエは今回も出ていない。


結果は食い意地の張ったすももさんが一位、運動神経のいいりんごは二位、次に俺、シャロンという順だ。


じいさんばあさんもバイタリティに溢れてるのか高齢とは思えないスピードと瞬発力だった。パンまで飛んだ時の勢い、パンをくわえてからの加速、あれは相当鍛えてるやつの動きだった。全員ただ者じゃない。



「これで全ての個人種目が終了しました。次は団体種目の綱引きです。野郎ども!周りのやつと手組む準備は出来てるかー!」


清さんが次の競技のアナウンスをする。アナウンスの途中からヤクザが出しそうな威勢のいい言葉と太い声になった。


『オオー!』


沸き起こるテントからの歓声がこの会場には漢しかいないのかと思わせる。


聞く分にはうるさいしびっくりするが。現にアリエとアリアさん姉妹も嫌そうに耳を塞いでいる。


実は俺たちは綱引きの練習もさせられている。カフェダムールの常連と絹江さんとで近くの公園で行った。団体種目は同じ自治体の班の人間が協力してやる、だから練習も近所の人間が協力してやるのだ。


場所を移動したのは店の庭より公園のが綱引きに適した広さだから。流石に店の方では狭くて練習出来ない。


「はあ、なんでわたしまで町内運動会の練習なんかしなきゃなんないのよ。わたしはアリエの勇姿を見るだけで十分なのに」


練習当時アリアさんが言った。


「なに言ってるのよ、綱引きの手は一人でも多い方がいいの。あなたも手貸しなさい」


祥子さんがアリアさんに綱引きに手を貸すよう言う。


「それ言ったらお父様やお母様もいた方がいいと思うけど」


手は一人でも多い方がいいなら両親の力も必要だろうとアリアさんが言う。


「うーん、あの二人の力は借りたくないねぇ」


祥子さんが唸る。


「あ、そう。なら好きにすれば」


アリアさんは言い返さなかった。どうやら祥子さんと息子夫婦の間はあまり良くなくて孫のアリアさんもそれを知ってるらしい。自分から運動会に出るよう頼むと言わないあたりアリアさんのやる気のなさをうかがえる。


「いいかい、今年から若い衆が入ってくれることになった。その子達に負けんようわしらも気合い入れて練習してくよ!」


絹江さんがリーダーとなってみんなに発破をかける。


『おおー!』


周りから気合いの怒号がなった。店の常連しかいないから怒号と言ってもそんなに大したことない。後から思えば運動会本番の方がもっとひどかった。

今回もお読みいただきありがとうございます

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