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僕とカフェダムールの喫茶店生活  作者: 兵郎
十三章 町内運動会
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百十一話 運動会の開会式



運動会当日、俺はすももさんやりんご、絹江さんの一家、シャロンやアリエとアリアの姉妹と会場である近くの小学校のグラウンドに来ていた。周りは会社を引退したおじさんおばさん、店の常連のおじいさんおばあさんばかりだ。


しかもみんないつもの年寄り臭い色の地味な服を捨てたジャージや半袖短パンという運動会専用のユニフォームだ。しかもいつもと違い柄も色も多種多様ではっちゃけている。戦闘準備は既に満タンである。


「ねえ、なんか周りあたし達みたいな若い人いなくない?」


アリエもそのことに気づいて言う。


「みたいだなぁ」


同年代のやつが少ないのは残念だ。


「これほんとに楽しいの」


不服そうな言い方だ。


「まあ、やって見ればわかるんじゃね?」


俺は肩をすくめた。


司会の清さんが台に上がる。そう、この運動会の司会は清さんだ。店でそのことを聞いた時は驚いたが町の名家ということでやってるらしい。


「さあさあ、今年も町内運動会の季節がやってまいりましたよ!野郎共、気合いは十分かー!?」


最初ですます口調だった清さんが後半荒っぽい口調になった。この人こんなキャラだっけ?


なお、この人だけ運動に適さないいつもの和服だ。運動会という場においても崩さないそのスタイル、和服へのプライド、あっぱれだ。


『おおー!』


参加者から気合いの怒号が飛んだ。すももさんやりんご、絹江さん、祥子さんの声も混じっている。


「うわ、なによこれ。声大きくない?」


アリエが周りの大きな声に戸惑う。


「はは、みんな気合い入ってんな」


あまりの声に俺も笑った。


「あんた、軽いお祭りみたいなもんて言ってなかった?」


アリエが話が違うぞという顔をする。


「なんだけどな、予想以上にみんなテンション高いな………俺もちょっと不安になってきたわ」


俺は気まずい顔で返した。


「どうしましょう、この盛り上がりの乗れなかったら怒られたりするのでしょうか………」


シャロンも不安な顔で言った。


「大丈夫よ、その時はあたしが怒ってあげるから安心なさい」


アリエがシャロンを励ます。


「いいんですか?」


怒るというワードにシャロンは少し不安になる。


「当然よ、だってシャロンはあたしの下僕だもの」


アリエがぽんと胸を叩く。


「マスター………ありがとうございます!一生ついていきます!」


シャロンが感動に泣きながら言う。


「うむ、よきにはからいなさい」


この二人っていつから主従の関係になったのだろうか。そういえば会って最初の頃アリエの方から体のいい下僕扱いしていた気がするがあれが続いていたのか。


「では大鳳家当主、大鳳清子から開会の言葉をいただきます」


清さんが台から降りる。


当主という立場で清子という名前の通り後からおばあさんが現れた。顔を落ち着きを持っているが眉間や頬のしわをいかついオーラを出している。


彼女が現れると場の雰囲気が変わった。さっきまでと打って代わり清子さんと同じような厳かな雰囲気に変わった。どうやら彼女の力は名実共にこの町の人たちを支配出来るらしい。


「これより、一葉町町内運動会を始める。みんな、怪我や体調不良のないよう気をつけるんじゃぞ」


清子さんが低い声で言う。参加者からもさっきと違い怒号が飛ばなかった。


清子さんと清さんが台を代わった。


「それでは、第一種目のかけっこの五十メートルを始めます。出場者はスタートラインに、それ以外の方はテントにてお願いします」


清さんが競技のアナウンスをする。俺とアリエは今回出ないのでテント行きだ。

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