百四話 十五夜には団子を作ろう
明日は十五夜、カフェダムールでは毎年この時期になると月見団子を出しているとのこと。
なので俺達店のスタッフも前日から団子作りをやらされている。最初は生地からなので冷やし中華の時と要領は同じだ。
ぐちゃぐちゃこねこね、この擬音が出る作業も冷やし中華の時に散々やって慣れた。ただし材料が違う。今回は砂糖や薄力粉、水などを混ぜている。生地は白くなり、ごく一般的な団子にはぴったりだ。
そこへ小豆をこして砂糖を入れて作ったあんこを混ぜていく。
「あーん」
すももさんが出来上がった団子を口に入れる。
「あむあむ………」
すももさんが団子をもぐもぐと咀嚼していく。
「おいしー」
味に感嘆して頬に手を当てる。
「そんなに美味いのか」
俺の手も自然と団子に伸びていた。
「これすもも!なにをつまみ食いしておる!」
余所見していた絹江さんがすももさんに気づいて怒る。
すももさんだけでなく俺までビクッとした。
「まったく、これは売り物なんじゃぞ?あんたが食べたらいかんのよ」
「はーい」
「まあ一通り出来たら晩御飯代わりに食べていいがの」
「なんだよ、食っていいのかよ」
りんごが言う。
「いいんですか?」
シャロンが聞く。
「うむ、たーんとお食べ」
「ありがとうございます!」
シャロンがお礼を言う。
「やったー!」
すももさんも万歳をして喜ぶ。
俺も内心ガッツポーズを取って喜んだ。実家にいた頃母さんがよく饅頭や団子出してきたんだよなあ。
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