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退屈した魔王は勇者になる様です。  作者: ナミ73
1章:魔王の転生と誕生
3/64

2話:冒険の開幕

今回はステータスやスキルの解説が主な内容となります。

後にこの設定を忘れて矛盾した事を書くかも知れませんが、暖かい目で見過ごして頂けると幸いです。


文章作法の誤りを改稿しました。

他の話でも沢山の訂正箇所があるかと思いますが、気付き次第訂正していく予定です。

 〜 魔王城 〜


 自ら命を絶った事により、魔王は魔界から消滅し、魔王城の一室『魔王の部屋』には静寂が訪れていた。

 ただ一人、部屋に残された悪魔だけが魔王の行為を止められなかった事を頭の中で後悔している。

 あと一歩の……数秒のところで魔王の元に届かなかった。

 もしもこれで新たなる魔王が誕生し、その魔王が魔界の主として相応しい器を持たず、魔界の平和を乱す様な存在であったのなら……魔界はおろか、最悪の場合は人間界にも影響を及ぼすだろう。

 その時の責任は本来は事の発端である魔王にあるはずだが、もう既にその魔王は魔界から姿を消している。

 ならば今、魔界の中で一番の責任を負うのは魔王の行為を止められなかったこの悪魔だ。

 残された悪魔は、どうしようもない現状にため息を吐き、せめて新たなる魔王が善意ある心の持ち主である事を虚空に向けて祈るしか無いのであった。



......................................................



 〜 人間界 〜


 人気の無く、虫のさざめきや小鳥のさえずりが聞こえる……とある草原の真ん中で『黒色の霧』が地を這う様に蠢き、人間の姿をした生命体を作り上げようとしていた。

 頭、首、胴体、両腕、両脚……と、身体髪膚が次々に短い時間で構成されていく。


 やがて作り上げられた生命体は……若々しくも大人びた精神力を持った十代後半程の青年の見た目をしていた。

 そう、人間の姿をしたこの生命体こそが、魔界から消滅し、人間界に『転生』した魔王である。


 黒色の霧に造られた魔王の心臓が動き出し、生命活動を始めた。


 暫くして、目を覚ました魔王は仰向けの姿勢から起き上がり、まず自分は何らかの形で生きている事を自覚した後にふらふらと不安定な動作で立ち上がる。


「ここは……? 青い空、爽やかな風、豊かな自然……人間界か! 待てよ、 では俺は一体何者に……?」


 新たな身体の機能を確かめるべく、両手両足の存在を目で確認しつつ、ゆっくりと動かしてみる。

 魔界で魔王として活動していた身体と同じ様に動かすことはできる。

 しかし、人間になった事で力はかなり弱々しくなったのではないかと思い、足元に落ちていた手と同じぐらいの大きさをした石を拾う。

 魔王であった頃には、自身の大きさの倍以上もある巨石を軽々しく持つ事が可能であった。しかし今は……ずっしりとした重量が腕に伝わり、転生前と比べて何倍にも膂力が劣化した事を今の魔王に実感させる。


「やはり身体能力も完全に人間と同等に変化してしまったか……。しかし、転生前の記憶は残っているな」


 記憶の継承。この恩恵はあらゆる生活をする上で多大な利益になる。

 数百万年蓄え続けてきた知識がそのまま残っているという事は、人間界に存在するあらゆる生命体の知識量を遥かに超えているであろうからだ。

少なくとも、記憶の大半を無くしつつ弱体化し、更に見知らぬ地にたった一人という状況にならなかったのは幸運であった。


「どうやら新たな人生を出生から始める訳では無いようだな。まぁ、完全にゼロから人生をやり直すという面倒な事をする必要が無くなったと考えると非常に有難いな。

 ……そういえば、ステータスはどう変化しているんだ? 転生前のステータスまで継承するのはかなり贅沢なものだが……」


 人間や魔族生命体には、『ステータス』という名の概念が存在する。

 主にレベルや攻撃力など、それぞれの戦闘能力を数値化して見る事ができる、というものだ。

 基本的にレベルの高い生物はレベルの低い生物に対して戦闘やあらゆる活動において有利になる。

 また、人間も魔族生命体も、(スキルや魔法道具を使用した場合などを除いて)自分のステータスのみ確認する事が出来る。


 転生前、魔王が誕生して百万年を過ぎた頃には、全てのステータスの数値が上限値である999に達しており、ステータスの殆どが、いわゆる「限界数値(カンスト)」状態だった。

ただ、999を超えたステータスもそれ以上の伸び代がない訳では無く、数値が変動しないだけである程度の強化は出来た。


 大抵の人間は戦闘に生涯を没頭し続けても、せいぜいレベル250前後が限界だろう。

才能のある人間であれば、300を超えることも可能ではあるのだが。


 魔王はステータス表と呼ばれるモニターを空中に表示し、モニターに書かれた俺自身のステータスを読み上げた。

自身のステータス表を表示するには、「ステータス確認」等と頭の中でただ念じれば良い。


 そして表示されたステータス表には、


《基礎ステータス》

名前:なし

 武器:素手

 属性:闇

 レベル:120

 攻撃力:90

 防御力:80

 俊敏性:82

 魔力:50

 魔力攻撃力:60

 魔力防御力:45


 と書かれていた。


 人間の中でもかなり珍しい闇属性であることを除けば、ほぼ全てのステータスは平凡と言える数値と言える。


 「ふむ……今の俺のステータスは人間の成人男性の平均と同等ほどか」


 戦闘職につかないならば、この辺りのステータスを気にする必要は無いだろう。

 しかし、このステータスであれば、もし人間界のモンスターに出くわしたとしてもある程度の弱い敵は倒せると判断できる。


(いや、転生前の戦闘技術を用いれば、ある程度の魔物とも戦えるだろう。

 今は武器が無いのが心許ないのだが……)


 今ステータス表に表示されている、基本能力の項目の下にスライドした所にある「スキル一覧」の項目を表示する。


 《スキル》

「ダメージ軽減:LV1」

「自動回復:LV2」

「戦利品増加:LV2」

「隠密:LV3」

「属性耐性:闇」


 スキル名の隣に表示されている数値は『スキルレベル』と言い、熟練度や性能を表している。

 スキルレベルの最大値は5で、数値が上がる程にスキルの性能も向上する。


 武器がない今、安全が保証されていない地を歩く為にはスキルの所持が重要だ。

 今のステータスで倒せそうにない敵も、隠密スキルを活用すればやり過ごせるだろう。


(さて、これで完全に俺は人間として、第二の人生の始まりを切ることが出来た事がわかったことだし、まずはこの人生で生きていく目的が欲しいな。

 何か、この人生でやりたい事をを探そう。

 ……しかし、ここが何処なのか検討もつかないな。

しばらくは街を探しつつ人間と交流して、この辺りの地形を把握していくか)


 そう考える魔王の視界の遥か向こうに、小さな町が見えた。


(数キロ……いや、十数キロ先か……? 時間はかかるが人間の体力でも歩いていけるだろう。

 まず目指すべきはあの町だな)


 新たなる自分、新たな世界の景色、第2の人生の幕開け、新たなる出会いの予感。


 それら全ての感覚が、魔王の高揚感を高めていく。


 人間界に移転し、人間へと姿を変えた魔王の冒険が……今始まる。



......................................................



 ※スキルLVについて


 スキルの熟練度によって1〜5のレベルに分類される。

 それぞれのスキルLVの上昇速度は、普通の人間で例えると


 LV1……習得直後〜1ヶ月未満の使用

 LV2……1ヶ月〜数ヶ月の使用

 LV3……数ヶ月〜1年未満の使用

 LV4……1年〜10年未満の使用

 LV5……10年以上の使用


となる。

旅立ちまでが大分長くなりました…。

次回は冒険パートです。

そのうち戦闘シーンも少しずつ入れていきたいと思います。

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