雪舞いし頃に始まり終わる
冬が、冬が来た。
息を吸うと冷えた空気が肺に入る。
そんな寒い冬の真夜中、僕は公園にあるブランコに1人静かに座っていた。
―キィ、キィ
ブランコが揺れる度に音が鳴る。
空からはふわりと真っ白な雪が降ってきている。
冷たい雪が体に触れるたびゆっくりと、確実に僕を死に追いやっていく。
「どうして僕はこんな身体にうまれてしまったのだろう?」
言ったところでどうしようもない。
けれどそう言わずにはいられなかった。
僕は生まれつき病気をもっていた。
病弱な僕は体調を崩しやすく命の危険に晒されることが多かった。
また病気により少しでも寒い所にいると異常なまでに体が冷え発作を起こした。
その為普段から外にはあまり行けず夏でさえ厚着だ。
特に寒い冬は一歩も外に出ることが許されず家の中でさえ自由に出歩けずいつも誰かが近くにいた。
心配しているからとわかってはいるけど、まるで牢屋に閉じ込められ監視されてるみたい。
そして最近やって来た医師が言うには病気が悪化しているんだって。
僕の身体はもう限界だった。
気づくのが遅すぎたんだ。
癌にもなっていただなんてね。
……もってあと2週間だそうだ。
だから最後にどうしても雪を触ってみたかった。
僕が生まれた時にも降っていたというこの綺麗な結晶を。
僕の最初で最後のお願い。
「叶えられてよかった……」