僕と暗い下水道。
[警告]つまらないです。
僕は…なんだ?
まぁ、名前はまだ無い。
今の僕は虫なのだ。
醜態の塊とも言える黒き悪魔…Gである。
…もう、嫌だ。
目覚めた所はとても汚らしい場所であった。
その名も、下水道である。
水が流れ、垂れ落ちる音を聴くだけでも身震いがするほど悪寒が身体中を走った。
…まぁ、いいだろう。そうして僕は歩いた。
歩いて、歩いて、歩き続けた。
…でも、歩いても歩いても先は見えない。
「こんなところでどうしたの?」
後ろから掛けられた声に僕はビクっとした。
こんなところで話しかけられるなどアイツしか居ない。そう思うと、背筋を冷や汗が垂れる。
恐る恐るそちらに顔を向けると、そこには一人の少女が立っていた。
「…ねぇ、どうしたの?」
出来るだけ、他の人には会いたくないから、早く離れるべきだろうか。
…というか、僕の目の前に居る少女は、僕より少し小さいゴキブリのはずだ。なのに、嫌悪感が湧かない。きっと正常な判断ができて居ないのだ。
「…無視しないでっ!」
あ、そうか。今話しかけられたんだった。
僕は慌て気味に答えを返す
「え、あ、ごめん?…あの、君は…?」
「へっ?私?私は…ベルディーナ=シュベリス…じゃ無くて、君の名前は?」
「僕は……」
あれ、僕は何て名前だろう。
名前はまだ無いのだが、そんなこと言っても興味を引かれるだけだ。僕は元の世界に戻りたいのだ。
「名前を言うほどの者では無い。」
あれ、選択ミスった気がする。
なんで助けても居ないのにさすらいの旅人風に言ったのだろうか。キメ顔もしちゃったし、正直恥ずかし過ぎて死にそうだ。ってか今死ぬことができたなら、心中してもいいやってレベルだ。
「え…?……かっこいい…」
おいおいまじか。こんなことあっていいのか。この子も俺と同じくらいおかしいぞ。大丈夫か。ってか俺、大丈夫か。
「あ、明るい所行こう?」
「お、おう」
そして数分歩いた頃…
「見て?私の家!」
そして見えたのは食い散らかった虫の残骸だった。
吐いた。ただひたすら吐いた。隣で少女が背中をさすってくれているが、この子があんなにグロテスクな情景を見たと思うと、さすられることにすら嫌悪感を感じる。
「いつまで吐いてるの!」
そうして彼女に頭を叩かれた時、これが幸せだと分かった。
嬉しい。
嬉しい。
あは、
あはは
あは…
「ってか、ゴキブリだったのかよ!?」
そんな一言を告げて僕たちは摩天楼へと足を進めた。
***
「…ん…?あれ?」
俺は寝ていたようだ。
さっきのはきっと夢だろう。
「そりゃあ、こんな事あるわけないよな」
そう言って俺は身体を起こそうとせずに天を両手で仰いだ。
「…あれ?」
伸ばしたその手は…虫の足ようなものだった。
完。
こんなキチガイ作品最後まで読んでくれた人にはタワシを7年分差し上げたいくらい感謝しております。え?8年分がいい?…仕方ないなぁ。あげますよ←