vita-ウィータ- 青年
結希は小さく息をはき視線を一哉に向けると目が合いお互い無言になる。
「・・・・何?」
「腕、どうしたのかなって思ってさ」
一哉の言葉に青紫色になっている腕に視線をむけた後、窓へむけた。一哉は割れ物を扱うような感じで結希の腕にシップを貼る
「・・・別に。」
「あんま、無理は禁物だぞ」
結希は重い身体を起きあげると裸足のまま、病室を出ようとする。
一哉は、結希の目的がわかっているのか溜め息をした後、結希のベッドに身体を預けた。
結希は長い廊下を歩き続け病院の最上階の屋上へ向かう。一つ一つの階段が重い。
重いドアを開けると風が結希を迎えるように包みすべての景色が目にうつる。
高いビルが何十個も建っている。いつもの風景を眺めながら、タンクの上へ登る
そこには結希と同歳ぐらいの銀髪に黒いパーカー姿の青年がいた。
結希に気付くと宝物を見つけたような表情で結希を自分の横へ紳士のように誘導した
「やぁ、結希待ってたよ。今日は早いね。僕に逢いたかった?」
「・・・貴方は何?」
「前に言ったでしょ。僕はね、キミのなんでもなれるんだ。味方、親、友達、親友、兄弟、恋人、ペット・・・キミのためなら女や子供でもなれれる。キミが望むものは?」
「答えになってない。」
「・・・ふふふ。そうかもねでも僕はいつでもキミを想い続ける。時が来たら僕を呼んでよ。行きたい所でも連れてってあげるよ」
「・・・じゃあ、いつか退院したら41連れてって。」
「え。・・・41ってアイスの?」
「他になんかあるの?」
青年は結希の言葉が意外だったのかキョトンとした後嬉しそうに微笑んだ
41は人気のアイスクリーム屋で並ばないと売れ切れる所だ。
「いいよ。・・・さて斎藤一哉が心配してるだろうからね。病室に戻りな」
結希は無言で頷き元の道に戻った。
結希が去った後青年の口元が歪んでいた。
内容は短いですが、がんばりますw