第四十二話。強さ。
その日より、傲慢の魔王の大侵攻が始まった。
昆虫族を除く多くの種が種の絶滅の恐怖に脅え、
幾つもの大型爬虫類たちがその目立つ巨体故に種ごと滅びた。
植物も過度な水分や、逆に水分を根こそぎ土壌から奪われて砂漠の中で枯れていった。
そしてそれを食らう草食動物も滅んで行った。
まだ、この辺り一帯だけの話ではあったが、
魔王ディルヴィウムワスプの侵攻は確実に広がっていった。
他の地域が無事だったのは魔王が棲家をそう離れたがらないということだけであった。
時折何処からかシンリュウソウが発生したが、
ディルヴィウムワスプとエンプレスヴェスパの前に直ぐに打ち取られた。
そんな中、遂に勇者が立ち上がった。
今までひっそりと隠れていたが、遂に開花し、
戦闘準備が整ったのだ。
エンプレスヴェスパ、スペルヴィアの巣
「お母様っ!!」
一匹の姫種ジャイアントヴェスパの成虫が巣に飛び込んできた。
彼女が告げた内容は壮絶なものだった。
天を衝く巨大な花とその周囲を囲むシンリュウソウの大群が突如現れ、
シンリュウソウ達が此方に近づいているというものであった。
そんな娘を前に、巣の女王は告げる。
「それで、どうしたというのですか?
まさか、私が勝てないとでも?」
「いっいえ。そう言うわけでは。」
「ならば脅えることなく堂々と胸を張りなさい。
私達は強者。弱者の様に脅えるなんて恥ずかしい真似はよしなさい。」
「はいっ、お母様。」
しかし、女王の奮戦も虚しく世界樹の前に倒れる。
その亡骸に群がるシンリュウソウ達に対し、
必死で母を護ろうと針を射続ける姫と戦力にすらならないことは理解しつつも、
戦おうとする彼女の妹達たる2匹の幼虫であるの前に現れたのは、
彼女のよく知る虫、
魔王、グラシリスだった。
種子から芽が息吹き、花が咲き、果実を落とす。
そしてその果実までには今までその植物が蓄えた栄養が必要である。
世界樹はこの星を取り込み、
果実として再度星を産み落とすために産まれた、
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