第四十一話。傲慢の系譜
報復は報復を生む。
本来最初に責めてきたのはバグズ側の戦力だった。
だが、弱者側の論理は関係無い。
貴き誇りは
この胸に
グラシリスの問いに、スペルヴィアは答える。
互いの瞳に映るのは互いの姿ではなく怒りと信念。
狂気の誇りが報復の始まりを告げる。
巨体で暴れまわるシンリュウソウを探すことは簡単だった。
様々なものを殺し喰らい、より巨大に成長したシンリュウソウ。
だが、相手がどれだけ巨大であろうとそんなことは2匹には関係ない。
RANK SSS エンプレスヴェスパ 個体名 スペルヴィア
RANK S+ フラッドワスプ王族種 個体名 グラシリス
ジャイアントヴェスパの伝説の一つへと覚醒したスペルヴィアと、
始祖の伝説の継承者たるグラシリス。
その瞳には敗北の可能性など一欠けらすら浮かんではおらず、
あるのは絶対の勝利というただただ傲慢な誇りだけであった。
アイコンタクトすら存在せず、スペルヴィアがその尾で突き抜けた後を、
グラシリスの水が突き抜けシンリュウソウの内側から膨れ上がり弾ける。
グラシリスがシンリュウソウから強制的に水分を吸い上げた事により、
著しく強度を欠いた細胞をスペルヴィアがその翅で切り裂く。
「GGGGWWWOOOOOOOOOOOOUUOO!!!!!」
シンリュウソウが吠える。シンリュウソウの周囲の力場が急激に密度を増し、
身体の傷が再生し、神々しくその身体が白金に光る。
だがそんなことは2匹には関係ない。
『翅舞』空に佇み
『胴造り』その瞳に的を宿し、
『尾構え』針を向け
『打起し』尾を振り起し
『引分け』針を構え
『会』心に映すは空白にして完全
『離れ』その矢を放ち
『残心』その命を奪うまで放ち続ける。
矢が刺さる、
矢が刺さる、
矢が刺さる、刺さる、刺さる、刺さる、
水と針の矢が一矢も外れることもなくシンリュウソウに刺さり続ける。
シンリュウソウがもはや身体よりも穴の方が大きくなったとき、
どちらということもなく射を止めた。
「私は、護れませんでした。」
「姉さんはシリスさんに護『られる』つもりなんて無かったと思います。」
「それでも、それでも護りたかったんです。」
「だったら、全てを護れるほど強くなればいいんです。でしょう?
ちなみに私も護『られる』のは御免です。」
あぁ、そうですね。解かりました。単純なことですよね。
もっと強く、もっと貴く、最強の証をこの胸に。
私達に敵対するもの全てを滅ぼしましょう。
この『傲慢の魔王』グラシリスが。




