第三十七話。魔王と勇者。
プラネットシード
かつてグラシリスが見逃した堅く一回り以上大きなプラントシードに似た何かの種。
その種子の中に含まれていたのはアクエリアスの民にとっての希望。
バグズの民の絶望であった。
バグズという星があった。
この星には昆虫族のルーツが存在し、
バグズは昆虫族が他の星で繁栄し、他の生き物を殺し、
増え、強大になり、そして死んでいくことで他の星の情報領域を汚すことで、
自身の情報に染め上げ端末へと変えることを習性としている星であった。
その星が目を付けたのが兄弟星であるアクエリアス。
バグズに遅れて生命を育んだこの星はバグズによる魔王やその配下の侵略を受け、
着々とその情報領域を汚されつつあった。
そんな中、バグズに対抗する為アクエリアスが作りだしてきた存在。
それが『勇者』。
アクエリアス自体の能力である仮定未来選択や、力の付与によって、
バグズの能力である感染を排除しようとし、
勇者と魔王の闘いは古来より長く続いてきた。
そして今代の勇者こそがプラネットシード。
今まで虐げられてきた民達の嘆きを糧に希望の花を咲かせる、
決戦兵器である。
―――――――――――∮∮―――――――――――――
女王の娘の内、成虫になり分蜂していった、
ファデータ、スペルヴィア、そしてグラシリスの所に、
女王の巣からいずれもすでに死んでいない方がおかしいほどの致命傷を負った、
伝令蜂が女王の訃報を告げに来た。
「女王陛下の奮戦も虚しく巣は壊滅。
女王様からの遺言です。
生き残った妹たちを見つけたら保護してほしい。
それと、グラシリス様には個別に、もう一つ伝言を承っております。」
「……それは。」
「娘たちをお願いします、と。」
解かりました。女王様。
いえ、もう一匹のお母様。
私の誇りにかけてその使命を果たしましょう。




