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第三十五話。I say hello good bye

先程プレデターXというAランクの海棲爬虫類モンスターをファデータさんが狩った話を聞いていました。

プレデターXというモンスターは首の短い首長竜みたいな鰐のようなモンスターなのですが、

なにしろ特筆すべきはその大きさと顎の強さ。

一度噛まれてしまえばヘルレックスドラゴンを超える顎の力で引き千切られてお終いです。


……、というかあれって海にいましたよね。

どうやってやったんですか?


えっ?新婚旅行中に海を飛んでいたら、飛び上がってきたので頭を石化させて砕いた?

一応Aランクですよ、プレデターX。飛び出たとはいえ、水のフィールドで水棲生物を倒すなんて、

「……この規格外。」


「「貴女にそれを言う資格はないわ。」ですね。」


「そうでしょうか?」

「はい。」

「それよりいいの?」


「何がですか?」

「いや、何が言いたいかというと、早く目の前のヘルレックスドラゴンを倒しなさいということなのだけれど。」


「また私だけで……ですか?」


「何を当然のことを言っているのかしら?」

「ですね、姉様。」



「………解かりました。やります。やりますから。ちょっと上空に行きましょう。…安心してください、逃げませんから。」

そういって取り敢えず一旦この場所から離脱することを翅を使って2匹に促します。



「ルヴィア、『あの件』なのだけれど…。」

「やはり、シリスさんこそが…。」


ちょっと、そこの2匹、何話してるんですか、一回上に離脱しますよ。













取り敢えず上空に離脱してきた私達です。

眼下にはヘルレックスドラゴンがキョロキョロしつつ、

先程ファデータさんが狩ったレックスドラゴンの死体を貪っています。


同族喰いですか、まぁ私も母の亡骸を胃に収めたので何も言えませんが。





暫く見ていると満腹になったのかヘルレックスドラゴンはまた去っていこうとしています。

「ちょっと、シリス。また逃げたんじゃなくて逃げられたなんて言うつもりかしら?」

「シリスさんはそんなことしませんよね。」



うぅ、スペルヴィアちゃんの黒化が最近凄い。

「……えぇ、大丈夫です。」


ヘルレックスドラゴンより後ろの2匹が恐いです。

私は、遥か眼下にいるヘルレックスドラゴンが今踏みしめた足場の罠を起動させます。



噴水(ファウンテン)



今の私の種族の名ともいえる力である地中からの強制的な水分の徴収。

これにより突如ぬかるんだ足場にふらついたところで、

更に湧き出た水にヘルレックスドラゴンの下半身を封じ込めさせました。



これだけでは終わらせません。


今私が構えているのはあくまで基本に忠実な、射法の構え。

例え尾針の先に特大の水球を構えていても基本に崩れはありません。


「綺麗ね。基本こそが完成形。原点こそが頂点ということかしら。」

「はい。まだ私もあそこまでは至っていません。」


後ろの二匹の会話さえ精神から遮断して、

私の心に世界を造り上げます。


其処は空白の世界。

ただ、(ゆみ)水球()(まと)だけが存在する何もない世界。


現実と心象世界が重なり、

自然に、あるがままに私は引き絞った水球()を引き放ちました。





唸りを立てる強烈な質量を持った水球がヘルレックスドラゴンに襲い掛かり押し潰します。

骨格は幾つか不自然に曲がって骨も飛び出しているようですがまだ終わりません。

そのまま血の混じった水で包むように水球の結界を構築します。



(わたし)の世界にようこそ。

そして、さようなら。




「先程私が海上で戦った話はしたけれど、

水中以外でこれだけ戦える水棲昆虫が規格外で無くてなんなのかしら。」

「姉様、それこそ規格外、というのではないですか?」

勝てる戦い方で、戦わせてもらいます。

問題はありません。歴史は生き残ったものが伝えます。

どんな戦い方であろうと、死者に口はありません。

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