第三話。 私、ライブでピンチです。
グラシリスが産まれた時既に母はいなかった。
急激な変質をもって誕生したグラシリスの母は自身が水生昆虫として完成しきることは無く、
その衰弱の結果亡くなった。
しかしその卵であるグラシリス達だけはなんとか完成した水生昆虫として産み落とした様だった。
グラシリスに母は亡く、父の行方をまた判らない。
もしかしたらいないのかもしれない。単体生殖という可能性や同性婚という可能性もなくはない。
姉妹たちもわからない。
他の場所に産み分けられたかもしれないし、どこか遠くに流されたのかもしれない。
もしかすると無防備な卵の状態で食われてしまったのかもしれない。
彼女は誰に教わることもできなかったが自身の種である蜂族の在り方は知っていた。
流れる血が教えてくれる。誰よりも誇り高く強く麗しき在り方を。
母が持っていた誇りと温もりを。
しかし―――――――――――、
「わかりますが、たいへんなんですねー、はちぞくというものは。」
その在り方を体現しようとは思っていないようだ。
「…それより、どういきるかです。えぇ。
いまはおかあさまがうみつけてくれたこのなえどこをたべていればいいですが、
そのあとですよそのあと。
かよわいわたしがこのみずのなかでどういきていくか。
えぇまずはいきのこることをかんがえないと。」
「まずはしょくじです。」とグラシリスは苗床たる何かの肉を食う。
それを喰っては寝て喰っては寝ての日々が続いた。
グラシリスはそんなぐうたらな日々が大好きだった。
しかし家兼食なお菓子の家生活に何時かは終わりは来るもので、
グラシリスがだいぶ苗床となった生物を喰い、時折体がはみ出るようになった頃、
彼女は見てしまった。動かない苗床である生物ごとグラシリスを喰おうとする魚類モンスターを。
グラシリスは急いで逃げだす。
食べる際にあけた穴より体の直径が大きくて抜けられないという、
壁にはまった美少女という女性にはあるまじき、
そしてどこかエロ的要素を含む状況からグラシリスは身を激しく動かすことで、
何とか抜け出した。
「えぇダイエットをする機会が無かっただけです。太っているわけではありませんから問題ありません。
…ってそんなことより逃げなくては。私はか弱い幼虫ですから。」
本来は蜂族の幼虫は成虫に至るまで大体親の庇護下にあるものだが、
それを産まれもって失ったグラシリスに明日はあるのか。
名称 グラシリス RANK E-
LV 10
種族 アクアワスプ・幼虫
属性 海・淡水 水 虫
弱点 無し
称号 無し
HP100 SP30 ATK60 DEF50 INT100 MAG30 RES30 DEX40 AGI18
種族特性 遊泳 水耐性 水底歩行 強き顎 水鉄砲 穴掘り 高速成長 毒耐性 寄生(弱)
スキル 遺伝2(封印) 知性(小) 巣作り 環境適応(中) 体温上昇 愛らしき風貌




