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第二十七話。喧嘩して仲直り。少年漫画的展開?そもそもメスですし、仲も悪くないはずなんですが…。

私は他の誰よりも早く知っていた。

現状で私は『スペルヴィア』に最もふさわしい蜂ではない。

私自身がこの名前に対して誰よりも誇りを持っていたから、

短い間ではあったけれどもあの虫の誰より近くにいたから感じていた。

だから私はそれに見合うように更に高みへ、

更に強く美しく気高くならなければならない。

お母様よりも、姉様よりも、そして―――――――――――あの(シリスさん)よりも。


嫌な虫かも知れませんね。私は。

始祖様の系譜を継ぐのであれば心に嫉妬ではなく誇りこそ灯さなければならないというのに。

ですが、解かっていても何処かわだかまりが出来てしまう。

仕方ないと言えないこともないでしょう。

スペルヴィア以上に『スペルヴィア』に近しい存在がいるなんて。

ましてや本虫にはその気なんて全くなく、その対極をこそ公言しているというのに…。


ですが仕方ないものを仕方ないと言って諦める行為は負け犬です。

それは解かってはいます。ですが、ですが――――――――――――



私が蛹から出た時、最初に逢ったのは今一番逢いたくない虫でした。

「おめでとう。スペルヴィアちゃん。」

「―――――シリス…、さん。」



――――――――――――∮∮――――――――――――――――






「おめでとう。スペルヴィアちゃん。」

「―――――シリス…、さん。」


あー凄く、気まずい感じです。

やはり嫌われてるような感じがしないでもないのですが。

でも嫌ってはいないとファデータさんも言っていましたし。


「お久しぶりです。」

「…お久しぶり…です。」


やっぱりなんかしこりを感じますね。

まぁ距離感なんて虫それぞれの話なので無理に近づいてもウザったいと思われるのも嫌ですし、

どうしようかな、そう思っていた矢先、

解決の糸口はスペルヴィアちゃんの方から持ってきてくれました。

「シリスさん、昔、模擬戦をしようとして姉様に止められたのを覚えてますか?」

「えっ、あ、はい。」



「シリスさん。今度こそ私と…戦ってください。」

――――わりかし物騒な方法で、

是非ともお断りしたいのですが、―――――――――――――――――無理、でしょうね。

これは彼女が『スペルヴィア』であるために必要なこと。

自己のアイデンティティの証明。

自己否定存在との対決。

私と、ファデータさんの妹の成長の為に少しだけ我慢しましょうか。


「まぁ、めったにわがままを言わないスペルヴィアちゃんのわがままですし、

成虫祝いとして一回だけですよ?」


「有難う御座います。」


本当に、面倒なことばかり私にお鉢が回ってきます。

これが始祖様の思し召しだとすれば随分と意地が悪いですね。

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