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第十五話。護るべきもの。

もきゅもきゅもきゅもきゅ。

「あっ、ふぁでーたさんたちもたべます?」


「いえ、遠慮しておくわ。今日は活きのいいフォートレスステゴが手に入ったらしいから。」

「わたしもえんりょしておきます。」


しまった。やってしまいました。

今日の朝ご飯がコボク系の植物モンスターでしたからこういう日の晩御飯が美味しいのはよくあるパターンだったのに、

しっかり今日の晩御飯を聞いてなかったです。

そう言えば今朝女王様が久しぶりに何か狩りにでも行くと自らお出になっていたのを忘れてました。

あれだけ巣にまで響いてくる爆発音が遠くからしていたのに。

昨日も一昨日もフウインボクだったりコールツリーだったり質素な味のものばかりだったんですよね。

…でも問題ないです。エオマイアを食べた後にフォートレスステゴも食べてしまえばいいんです。


そう私が決意をしていた時私の視界に何かが入りました。



危ない。

このままではきっと危ない。


私は全力でスペルヴィアちゃんの方に這っていきました。

速く、もっと速く。

そう思っても速度が出せない好みが恨めしいです。

しかしそれではもしもの時に後悔します。

…私の悪い予感は当たるものですから。



今になって私が危険だと思っているものに気が付いたファデータさんと、

なぜかきょとんとした風に私を見ているスペルヴィアちゃん。

ファデータさんの傲慢が生んだ油断については後で思いっきり追求するとして、

今は危険を排除しなければ。なぜなら――――――







―――――――――なぜなら、先程私から逃げ出したキノドドンがスペルヴィアちゃんを狙っていたから。

このままでは間に合わないと判断した私は後ろに伸びている細長い尾をバネの様に丸め無理矢理前転します。

バネの作用によって跳ね上がる私。

回転しながら移り変わる風景の一端にスペルヴィアちゃんに今飛び掛かるキノドドンを見つけました。

私は尾を伸ばし先に刃を生成します。

バネと違って衝撃を逃がすことはできませんが問題はありません。

下にはキノドドン(クッション)があります。

万が一外してしまった場合には尾にかなりのダメージを受けるでしょうがその時はその時です。

…というより、失敗は赦されません。



回転しながら私は尾の向きを変え、風を切る様にしたり受ける様にしたりして空気抵抗にて微調整を行います。

そして寸前で身体をまっすぐに伸ばし、重力による加速と回転という速度を私の体重に加え刃の一点に乗せ、

キノドドンの頸に突き刺しました。


…思ったより刃の切れ味が良かったためそのまま切り裂いた肉はブレーキの役割をあまり果たしてはくれず、

私はキノドドンを切り裂いたままその上を転がって落ちてしまいましたが、

再び身体を丸め着地しましたので、大丈夫です。

…勿論それでも痛いものは痛いですが。



「しりすさんっ。」

「……はっ、シリス、ルヴィア、大丈夫っ!?」


「まぁいちおうはだいじょうぶです。」

あ~全身が痛いです。


「ごめんなさい。しりすさん。」


まぁまぁ幼虫の身でありながら油断していたスペルヴィアちゃんと、

恐れるものが無いからと油断しきっていたファデータさんには言いたいことはいろいろありますが、

まずは、


「すぺるびあちゃん。そういうときはごめんなさいじゃなくて、ありがとうっていうんですよ?」


この泣きそうな妹分を慰めるのが先ですよね。

この素直な仔ならきっとそれで大丈夫。


「…はいっ。ありがとうございますっ。」


ほらね?

私の慢心が妹たちを危険に晒した。

私はスペルヴィアを永久に失うところだった。

この時、私は初めて理解したのかもしれない。

生きるということの価値を。


シリス、有難う。

これからも貴女には大分無茶を言わせてもらいますけど、

二度と貴女達を犠牲にしないことを、私の誇りにかけて誓うわ。

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