第十四話。一匹いれば30匹はいる。
そんなわけでまた、私の対戦相手を探しに行くことになりました。
このまま夕ご飯の時間になって帰れればいいのに、そう思う私の思いとは裏腹にすぐに出てきました。次の敵が。
私自身もそう強くはないのかもしれませんが低ランクのモンスターは如何せん数が多すぎですね。
幼虫も歩けば哺乳類に当たる。そんなことわざの通りです。
「さぁ、次こそは貴女の雄姿を魅せるチャンスですわね。……雌姿の方が適当かしら?」
「しりすさんがんばってください。」
……目下最大の敵は後ろの姉妹たちのような気もしますが…。
エオマイア RANK F 哺乳類系モンスター
キノドンがパワータイプならエオマイアはスピードタイプです。
先程から私の周りをくるくると回っては私を狙っています。
…群れから外れた様にでも見えているのでしょうね。
しかしエオマイアよ、それは間違いです。
群れから外されたのです、私は。
――――――――――――――――言ってて悲しくなってきました。
又、逃げ去ってくれればいいのですがそうはいかないようです。
エオマイアは明らかに私を狙っています。
…さて、どうしたものでしょうか?
エオマイアが私の周囲を回りながら距離を詰めてきています。
このままではいずれ攻撃を受けるでしょう。
そんなのは御免です。
私は水を吹き出しエオマイアに浴びせかけました。
…ただの水ではありません。余り強力ではありませんが、毒入りです。
目に染みました?…でしょうね。そのパニックになりようでは私にも伝わってきます。
あなたの焦りが。
なまじ眼が見えると眼が見えなくなった瞬間というものは焦るのでしょうね。
例え嗅覚でも相手を探せるとはいえ、自分の体の機能の一部が閉鎖された瞬間というものはパニックになるか消沈するものです。
今回はパニックでしたね。
…ではさようなら。せめて美味しく頂きますのでご勘弁を。
恨むのならこの弱肉強食の世の習いと私の後ろの二匹をお願いします。
「………凄いわね。」
「………………………はい。」
ファデータたち姉妹はその戦闘を見て思った。
幾ら相手が底辺の生き物とはいえ、底辺の中ではそれなりに速く動く相手の眼に対し、
ほぼ正確に眼を毒水で射抜いた。
ましてや幼虫の数少ないはずの経験の身で早々できることではない。
そのグラシリスの様に対し、
ファデータは称賛を、
スペルヴィアは同じ幼虫の身でありながら、自分がグラシリスのように戦えないかもしれない、
グラシリスと戦っていたら負けていたという敗北感と、直ぐに超えてみせるという向上心と、
素直にカッコいいという憧れを抱いていた。




