第十二話。スペルヴィア、お前もか。
ファデータ姫、もといファデータさんと和解(?)してから私が巣を出るまでの間、
暫くの間私はこの巣で療養という名の暖かい時間を過ごしていました。
まぁ、水の中と比べれば当然地上は温かいのですがそういう意味ではないです。
私が巣を出るまでの間の話を少ししていこうと思います。
ファデータさんは蜂族特有のプライドの高さから優先すべきものが、
誇り>>(越えられない壁)>>>命な所があるごく一般的な蜂族の姫ですが、
私としては誇りをひけらかして敵を作ってもそれを全て粉砕すれば問題ないという始祖様から脈々と続くこの考え方は、
始祖様のようにハイスペックを通り越して廃スペックな御虫だからこそまかり通るやり方で、
私のような一般的な姫バチには随分と生きづらいあり方だと思います。
始祖様やその後の御方々もなんて面倒くさ…いえ、なんでもないです。
だからファデータさんその燃えるような怒りを納めてください。お願いします。
今更なんですがファデータ姫と距離を取って読んでいたのですが、
本虫から
「ファデータ『さん』でいいわ。私もシリスと呼ぶから。」
というお言葉を頂いたのでそう呼ばしてもらっています。
ちなみにスペルヴィアちゃんにもシリスさんと呼ばれるようになりました。
あっ、『私』はさん付けで呼ぶようには強要してませんよ?
ところで私はなぜかスペルヴィアちゃんと模擬戦をすることになりました。
私はもっと強いはずだとかいうファデータさんとそれに興味を示したスペルヴィアちゃん。
そしてそれに乗っかって模擬戦を考えたファデータさん。
……大体ファデータさんのせい。
で、私を攻撃するスペルヴィアちゃんに回避と防御の防戦一方の私。
「しっかりやりなさい。グラシリス。」
「えぇ、ほんきでやってください。」
ファデータさんだけじゃなくてスペルヴィアちゃんまでっ!?
いやいやちょっと待ってくださいよ。
「ちょっとファデータさん。だったら貴女が私と代わりますか?」
「何を言ってるの?そんなことしたら危ないでしょう?
私は成虫よ。練習なら付き合うけど本気の模擬戦ならスペルヴィアが危ないわ。」
「そうですね。…ところでわすぷけいにおおくみられるほんきのだしかたってしってます?」
「ワスプ系?…………っっ、寄生型っ。そうねその本気は正直洒落にならないわね。…止めておきましょうか。」
「でしょう?」
「えぇ。」
「むーっ。わたしはしりすさんのほんき、みてみたかったです。」
私と本気で戦えなかったからか、弱いとみられて情けをかけられたと感じたのか、
スペルヴィアちゃんはややご立腹気味です。
…可愛いけどお姉様のようにならないでくださいね。
強さよりも安全と平穏が第一です。
「えぇそうね、だから別に殺してもいい相手に戦ってもらいましょう。シリス、ルヴィア。狩りに行きますわよ?」
「はーいっ、ねえさま。これでしりすさんのほんきがみれるのですねっ。」
「ちょっちょっとべつにわた「ほらっ、シリスもそう言っていることですし。」言ってませんしっ!?」
「わーい。」
しかしそれを望むものの方が少ないのが蜂族の現状でした。
かくして私は巣の外に押し出されました。




